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Inkscapeで絡まったパスを描く

 このページでは、Inkscapeを使って2つのリングをつないだような互いに絡まった形のパスを描く方法を考えてみたいと思います。

(2024.05.23更新)

 普通に2つのパスを重ねて描いても、どちらかが上にどちらかが下に重なったようにしかならず、絡まった形になりません。

 交差しているところの重なり具合を上下入れ替えればいいのですが、SVG形式としてそういう表現はサポートされていないようです。

 そこで、交差している近辺だけ切り取ったものを交差しているところに上からぴったり重ねることを考えます。

 まず下に重なっているほうのパスを複製します。

 複製先のパスは一番上に描かれます。

 そして交差する位置に当たるところの周囲を囲うようなパス(形は適当で)を描いて、そのパスを複製先のパス(次の例の右側のオブジェクト)に重ねてクリッピングパスに使って交差するところの周囲だけ切り取ります。

 複製した直後の複製元と複製先のパスがピッタリ重なった状態のままでクリッピングを行ってもいいのですが、同じ色同じ形のパスがピッタリ重なったままで操作するのは少し混乱しやすいので、複製先のパスは別の場所(例えば右の離れた位置)に移動してからクリッピングを実行することも可能です。

 最後に、クリッピング後のパスを交差するところにピッタリ重なるように移動する必要がありますが、スナップダイアログでノードにスナップするように設定しておけば、クリッピング後のパスをドラッグしていってピッタリ重なる位置で止めることが簡単です。

 クリッピングによって一部しか見えなくなっているオブジェクトの場合でもそのオブジェクトのノードはデータとして残っているので、見えなくなったノードの位置へのスナップはそのまま有効であるというところがポイントです。

 グラデーションやフィルタの効果もクリッピングによって位置がズレることはないので、例えば次のようにフィルタで影を付けたパスの場合でも同じようにクリッピングしたものを上から重ねればピッタリ重なります。