このページでは、Inkscapeを使って描く矢印の先端(矢尻のところ)の色を変える手順について考えてみたいと思います。

(2024.06.27更新)
といっても「組み込みマーカーを編集」のほうで書いたように、既存のマーカーを独立したパスオブジェクトに変換した上で編集し、新たな別のマーカーとして登録するという手順の特殊なケース(色を変えるケース)にすぎません。
でもマーカーを編集する目的としてよくありそうなケースなので、少し詳しめに手順をまとめておこうと思います。
まず水平のパスを描きます。ペンツールでCtrlキーを押しながらドラッグすれば水平のパスが簡単に描けます。

次にストロークのスタイルの画面でマーカーとして矢印を設定します。

するとパスの端が矢印になります。ここまでは当たり前の手順です。

次にストロークのスタイルの画面で矢印マーカーを小さくします。「0.3」ぐらいを指定してだいたい1/3の大きさにします。

なぜこんなことをするかというと、独自のマーカーは登録する前にあらかじめ小さくしておかないと、その独自マーカーをパスに設定したときに自動的に拡大されてしまうからです。そのあたりは「塗りつぶしパターンがズレる件」に書いた事情と似ています。

次にこのパスを選択しておいてメニューからパス > ストロークをパスに変換を操作します。
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そうすると矢印の矢尻の部分もパスに変換されます。ただしいくつかのパスオブジェクトがグループ化されている状態になっているので、グループの解除を行います。2階層ぐらいのグループになっているので全部解除します。
次にこの矢尻部分のパスオブジェクトのスタイルを自由に設定します。ここではフィルの色を変えてみます。

次にこの色を変えたパスオブジェクトをマーカーとしてドキュメント内に登録します。それにはメニューからオブジェクト > オブジェクトをマーカーにを操作します。マーカーに登録すると登録対象のパスオブジェクトはキャンバスから消えます。

これで色を変更したマーカーが登録されている状態になっているので、別のパスに設定してみます。
まず何かパスを描きます。

次にストロークのスタイルの画面を表示させます。すると一番上にさきほど登録した色変更後のマーカーが表示されているので、それを選びます。

色変更後のマーカーが設定されます。

通常はストロークよりもマーカーのほうが下に描かれるスタイルになっているので、ストロークのスタイルの画面でマーカーのほうを上に描くオプションを選択します。

すると矢尻部分が上に重なるようになります。

矢印を直接パスとして描くこともできますが、マーカーとして登録しておくとパスを変形したときもInkscapeが自動的に角度や大きさも調整してくれるのが便利です。
