このページでは、Inkscapeが提供する機能の中に時々現れる「Flatten」と呼ばれる機能について、その意味を調べた結果をメモしていきたいと思います。
といっても日本語モードでInkscapeを実行しているときはこの「Flatten」という文字列がメニュー等の画面に表示されることはなく、英語モードでInkscapeを起動している場合であれば「Flatten XXX」のように表示されますが、日本語モードで起動している場合は「平坦化」「パスに戻す」「透明部分の追い出し」のようにいろんな日本語に訳されたものがメニュー等に表示されます。
この日本語訳のラベルを見てもどんな機能を意味しているのか直感的に分かりません。では訳が悪いのかというと元の英語でも「Flatten」というやっぱり良く分からない用語が使われているので、どう訳しても分かりにくいのだと思います。
「Flatten」を辞書で調べてみると文字通り「平らにする」という意味が出てきますが、もちろん斜めの図形を平らにするなどという意味ではありません。
そこで実際に「Flatten XXX」と(英語モードであれば)表示される機能それぞれがどんな機能かを調べた上で、それらに共通する「Flatten」という言葉の意味を想像してみたのですが、「Flatten」はコンピュータ用語としては「展開する」と訳すのが一番近いニュアンスなのかなあという考えに至りました。
もう少しクドクドと書けば「高レベルの情報を記述したデータを、より低レベルな情報に変換すること」ということになるかと思います。
Inkscapeの機能の中で分かりやすい例として、適用されているパスエフェクトに対して「パスに戻す」という機能があります(詳しくは「パスエフェクトを手動で実行する」を参照)。これはパスエフェクトの処理をオブジェクトの表示時にダイナミックに実行するのではなく、パスエフェクトの処理を編集時にあらかじめ実行してしまって、その実行結果のほうを記憶させるという機能です。パスエフェクトの定義という高レベルの情報を属性に含むオブジェクトデータを、位置や色などの低レベルなスタイル情報だけを含むオブジェクトデータに変換するもの、と言えると思います。
でもこんなクドクドした説明はメニューに表示しきれないので「パスに戻す」という短い表現に(多少の無理を承知で)訳したのだろうと想像します。
そう理解しておいて個々の機能の日本語訳の名前を見ると、今度はなんとなくどんな機能なのか分かるような気がしてきます。
というようなことを押さえたうえで、詳しいことは「Flatten XXX」に相当する各機能について触れるところで説明を加えていこうと思います。