このページでは、Inkscapeにビットマップ画像ファイル(JPEGファイルやPNGファイル)から画像を読み込んで(インポートして)シェイプなどと同じようにオブジェクトとして追加する手順を紹介します。

- Contents
- はじめに
- インポート
- インポート後の編集
- 外部のエディタソフトの設定
- 埋め込みとリンクの入れ替えについて
(参考:画像トレースのパラメータと手順)
(2023.12.09更新)
はじめに
Inkscapeでは、ビットマップ画像をファイルから取り込んだり(インポート)、取り込んだ後で編集したりすることができます。
取り込んだビットマップ画像は、ビットマップ画像オブジェクトとして、移動、拡縮、フィルタ設定、クリッピングなどの編集が可能になります。
また、ビットマップ画像をペイントツールのようにピクセル単位で編集するには、Inkscape自身の機能ではなく、別の編集ソフトをInkscapeから起動させます。(どうやって起動させるかは後述)
インポート
ビットマップ画像をファイルから読み込んでキャンバス上にオブジェクトとして取り込むには、ファイル > インポートメニューを操作します。メニューを操作すると、次のようなダイアログが表示されます。
ここで、画像のインポート形式を選ぶことができますが、画像データそれ自体をドキュメント(SVG形式ファイル)の中に含めたい場合は埋め込みを選び、画像ファイルへリンク(HTMLのIMGタグと同様)させて表示させたい場合はリンクを選びます。
どういう場面でどちらを選べばよいかはよくわかりません。リンクは画像ファイルへのURLがSVG形式ファイルの中に記述されることになるので、その画像ファイルを同じURLで今後も参照できるのであれば埋め込みでインポートする必要はないのかもしれませんが、画像ファイルの保存場所を変更する可能性がある(いわゆるリンク切れ)など、同じURLで参照できる状態を維持するのが面倒な場合は埋め込みのほうがいいのかもしれません。
後で書きますが、埋め込みとリンクを互いに切り替えることはいつでもできるので、とりあえず好きな(?)ほうを選んでおけばいいような気もします。
なお、キャンバス上の画像オブジェクトが埋め込みなのかリンクなのかを知るには、画像オブジェクトの上で右クリックして表示されるメニューで、画像のプロパティを操作します。それによって表示されるオブジェクトの属性ダイアログで、画像のサイズなどのプロパティと並んで「埋め込み」か「リンクあり」と表示されるのでわかります。

インポート後の編集
画像ファイルからインポートされたビットマップ画像オブジェクトは、それ以外の種類のオブジェクトと同じように、拡大縮小や反転などの編集を行うことができますが、ビットマップ画像それ自体をペイントツールのようにピクセル単位で編集する機能はInkscapeにありません。
ピクセル単位で編集したい場合は、ビットマップ画像オブジェクトを選択し、右クリックして表示されるメニューで外部で編集を操作すると、Inkscapeとは独立したペイントツール(Inkscapeでは「ビットマップエディタ」と呼ばれている)が起動して、そちらでビットマップ画像を編集することができます。
ただし、編集できるのは、インポート時に画像のインポート形式として埋め込みではなくリンクを指定してからインポートした画像オブジェクトです。埋め込みでインポートした画像オブジェクトを右クリックしても外部で編集メニューは表示されません。(メニューが存在することは認識できたほうがいいので、メニューを隠すのではなく、グレーアウトしたほうがわかりやすいと思うのですが、これは好みの問題でしょうか。)
また、原因は分からないのですが、画像ファイルからインポートするときにファイル選択ダイアログ上で画像ファイルを指定すると、画像のプロパティのURL欄に謎(?)の相対パスが格納されてしまって、外部で編集を操作しても「ファイル見つからないです」と怒られてしまいます。「file:」で始まるURLに手で書き換えればちゃんとペイントツールで編集できるようになるのですが、インポートの時にどういう操作をすればこんなことにならずに済むのかはわかってません。(Windowsの場合、URL欄に自動的に設定されている相対パスの先頭部分を例えば「file:///C:/」に書き換えたら期待通りペイントツールの起動と画像の編集が可能になりました。)
外部のエディタソフトの設定
ペイントツールを起動できるようにするには、そのペイントツールのプログラムファイルへのパスを環境設定のインポートした画像のタブの中で設定しないといけません。
ペイントツールのプログラムファイルへのパスをどうやって調べればよいかはOSの種類やバージョンによって様々で、Windowsに限ったとしてもバージョンによってすぐ変化してしまうので「こうすればよい」と言いにくいです。
例えばWindows 11 Homeの「ペイント」をペイントツールとして設定する場合は、その「ペイント」を起動した上で、スタートボタンの上を右クリックすると表示されるメニューからタスクマネージャを起動し、タスクマネージャの「プロセス」一覧に並んでいる「ペイント」の上で右クリックして表示されるメニューでファイルの場所を開くを操作すると、「ペイント」の実行形式ファイルのあるフォルダが表示されるので、そのフォルダに格納されている「ペイント」の実行形式ファイルを右クリックしてパスのコピーメニューを操作します。すると、「ペイント」のプログラムファイルのパス(文字列)がクリップボードにコピーされるので、環境設定ダイアログのパス入力欄にペーストします。(ただし、ペーストしただけではパスの前後に「”」が自動的に付いてしまって、それのせいでInkscapeから「ペイント」の起動ができないので、ペーストした上で前後の「”」を手で削除する必要がありました。)
埋め込みとリンクの入れ替えについて
埋め込みでインポートした画像データだけを取り出してファイルに保存するには、ビットマップ画像オブジェクトを右クリックして画像の抽出を操作します。このとき、次のようなダイアログが表示されます。
このダイアログには抽出した画像をリンクというオプションがありますが、これをチェックすると、画像オブジェクトのデータを指定したファイルに保存するとともに、画像オブジェクトが埋め込みからリンクに変更されます。複数の画像オブジェクトを選択した状態で同じ操作をすると、全部別々の画像ファイルに保存してくれます。
逆に、リンクで埋め込んである画像オブジェクトを右クリックして画像の埋め込みを操作すると、画像オブジェクトがリンクから埋め込みに変更されます。