このページでは、Inkscapeに組み込まれている各種パスエフェクトの機能を紹介します。
(参考:パスエフェクト/エクステンションとは)
(2022.11.13更新)
パスエフェクト:結び目
1本のパスまたはパスのグループ(パスオブジェクトをグループ化したもの)に対して結び目エフェクトを適用すると、交点にあたる部分に自動的に隙間が描かれるので、紐が重なっているような絵になります。隙間の大きさを座標単位またはパスのストロークの太さに対する倍率で指定します。
スイッチャーサイズは、交点のところに表示される回転を示すマークの大きさを設定します。このスイッチャーをクリックすると、交点のところで、どちらのパスが上に重なって見えるようにするかを切り替えます。
両側に隙間をチェックすると、交点のところに重ならないように空白を表示するようになります。
ちなみに、直角に交わる場合はきれいなのですが、斜めに交わる場合は、パスの端っこのスタイルをそのまま使って切れ目を表現するため、次のように切れ目のほうも斜めになってしまい、きれいではないです。
この場合は、結び目エフェクトを使わずに、オリジナルパスのストロークの周囲を新たにパスに変換してからノードツールを使ってきれいな切れ目に変形するしかなさそうです。
パスエフェクト:ハッチ(ラフ)
デッサンを行うときに鉛筆を往復させて塗りこむような「ハッチング」を使って、パスの内側を塗りつぶします。塗りつぶすといっても、フィルを色で塗りつぶすのとは違い、あくまでもパスエフェクトなので、オリジナルパスの外側の形はそのままに鉛筆を往復したような塗りつぶし線に変換します(つまり、オリジナルパスは表示されなくなります)。当然、オリジナルパスの属性(ストロークの色は太さなど)はハッチングの線に引き継がれます。
フィルのように元の図形を残しつつ内側を塗りつぶすようにしたいときは、パスエフェクト適用前に元の図形を複製しておいてオリジナルパスとして使います。
パスエフェクトタブ上にいろんなパラメータが指定可能になっていますが、これを全部ゼロにすると、オリジナルパスをぴったり埋めるような均等なハッチングになります。各パラメータをいじると、オリジナルパスから出張るような線になったり、線の動きが荒くなったり、線の太さに変化がついたりするので、ゼロを設定したところから始めていろいろいじってみると、思ったような塗りつぶし方にしやすそうです。増加量というパラメータを変えると、端にいくほど荒くなるようにすることもできます。
また、パス上に塗り方を変えるためのハンドルもいくつか表示されます(ダイアログからは指定できないパラメータが指定できる)が、適当にドラッグしてみればハンドルの役割もだいたい分かってきそうです。
パスエフェクト:サブパスの補間
1つのパスオブジェクトに含まれるサブパスのうち、最初の2本の間に少しづつ変形していくサブパスを自動的に挿入(補間)します。自動的に挿入するサブパスの本数はダイアログ上でステップ数として指定します。キャンバス上で編集ボタンを押すと、1本だけ表示されているコントロールパスを変形することができるようになって、変形したコントロールパスに沿ってサブパスが並びます。等間隔にチェックが入っている場合は1本目のサブパスと2本目のサブパスの間でコントロールパスの曲がり具合に沿って等間隔にサブパスが補間されますが、等間隔のチェックをはずすと、コントロールパスの曲がりがきついあたりでは補間されるサブパスの密度が高くなります。また、コントロールパス上に新しいノードを追加すると、セグメントごとの補間サブパスの本数を均等にした結果、短いセグメントの補間サブパスの密度が高くなります。
パスエフェクト:クローンオリジナル
エフェクト適用対象のパスに、別のクローン元パスの属性を継承させて、クローン化します。Inkscapeの基本機能にあるクローンのようにクローン元パスから直接クローンを生成するのではなく、すでに存在するパスの属性をクローン元パスの属性で上書きすることでクローン化するものです。(なお、わかりやすい解説コンテンツを発見できなかったので、以下の説明は断片的な情報を自分なりに想像で埋めながらまとめたもので、勘違いも含まれていると思います。)
エフェクト適用対象のパスがどんな属性でどんな形状であるかに関係なく、クローン元パスの属性を継承した結果で表示されるようになります。普通のパスをクローン元パスとした場合は、基本機能を使ってクローンを生成したときと同様のパスに変換されますが、何らかの他のパスエフェクトが適用されている状態のパスをクローン元パスとした場合は、パスエフェクトの適用まで含めて継承してクローン化されます。ダイアログでパスエフェクトだけを継承対象から除外することもできます。
詳しくは「パスエフェクト:クローンオリジナル」を。