このページでは、Inkscapeの自動編集機能である「パスエフェクト」と「エクステンション」について、まずは概要をまとめます。

- Contents
- はじめに
- パスエフェクトとは
- エクステンションとは
- マニュアルについて
(2024.10.18更新)
はじめに
Inkscapeでは、マウスを使ったりメニューから実行可能な基本操作以外に、基本操作を組み合わせて1つにまとめた特殊な操作を可能とする、いわゆる「マクロ」のような機能が提供されています。この機能には、大きく分けて、パスエフェクトとエクステンションの2種類があります。
パスエフェクトとは
パスエフェクト(Live Path Effects:略してLPE)は、パスオブジェクトを自動的に編集するマクロのようなもので、そのパスオブジェクト自身の属性の1つとして設定されるものです。
設定した対象のパスオブジェクトを表示する処理の中で実行され、実行結果(編集結果)のほうが表示されます。そういう機能なので頭に「Live」と付いているようです。
多くの便利なパスエフェクトがInkscapeに組み込まれています。
パスエフェクトを設定すると、ドキュメントの内部データとして、パスエフェクトによる自動編集を行う前のオリジナルのパス(スケルトンパスとも呼ばれています)と、ダイアログ上で設定したパスエフェクト用パラメータと、パスエフェクトによる自動編集を行った結果のパスと、が記憶されていて、通常は自動編集後(エフェクト適用後)のパスが表示されますが、ノードツールを使ってパスオブジェクトを選択すると自動編集を行う前のオリジナルのパスを表示させて編集することも可能です。
エクステンションとは
エクステンション(Extension)は、スクリプトとして記述されたもので、パスの編集に限らず、もっと幅広い基本操作を組み合わせたマクロのようなものです。
あらかじめ組み込まれているエクステンションもたくさんあります(バージョン1.3で100種類以上ありそうです)が、ダウンロードしてきてInkscape内に追加インストールすることもできるようです。
特定のエクステンションを実行したいときは、プルダウンメニューでエクステンションのメニューを表示させるか、または、「エクステンションギャラリー」というダイアログを表示させて、その中から選びます。

パス編集を目的とする一部のエクステンションは、パスエフェクトに昇格(?)してInkscapeの新しいバージョンのパスエフェクトとして組み込まれたものもあるそうです。
エクステンションについて気を付けなければならないのは、インストール時に組み込まれているものであっても将来のバージョンにも残っているかどうかはわからないという点です。実際、バージョンアップするたびに入れ替わっているように思われます。そういう意味でも「エクステンション」なのだということなのでしょうか。
マニュアルについて
ただ、ちょっと残念なことに、パスエフェクトもエクステンションも、その機能を詳しく説明してくれているマニュアルに相当する解説コンテンツが無く(ネットで検索してもほぼ見つけられない)、本格的に利用するのには少々抵抗があるのが正直なところです。
どんなオブジェクトに対してどんなパラメータを設定するとどんな操作が自動的に行われてどんな内容のデータが生成されるのか、などを細かく把握してから利用したいところなのですが、それらを知るには「実際に使ってみて観察する」ことがある程度必要と思われ、簡単には使いこなせそうにありません。うっかり間違った理解をしてしまったりすると後で困ることになるし、Inkscapeの将来のバージョンで仕様が変わってしまったり、下手するとその機能自体が削除されてしまったりするかもしれません。
とはいえ、魅力的な機能が提供されているので、ノウハウをネット上で検索しつつ、恐る恐る使ってみたいところではあります。
さらに詳しい情報(パスエフェクトやエクステンションの個々の使い方など)は、次のページにまとめています。