Inkscapeでオブジェクトの一部分を切り取る(クリッピングする)際に複数のパスを同時に使ってクリッピングすれば、飛び飛びの領域を切り抜いたり、ドーナツ状に切り抜いたりすることができます。

- Contents
- クリッピングパスを描く
- クリッピングパスを結合
(2023.08.23更新)
(参考:クリッピングとマスキング)
(参考:クリッピング領域の形を編集する)
(参考:「穴」を描く方法)
クリッピングパスを描く
まず、クリッピング対象のオブジェクトの上にクリッピング領域を指示するパス(クリッピングパス)を描きます。

このとき、クリッピングパスのフィルとして不透明度を下げて後ろ側の絵が透けて見えるようにしておくと、どこが最終的に切りだされる領域なのか確認しやすくなると思います。なお、クリッピングの処理ではクリッピングパスのフィルのスタイルは無視されるので、フィルの色や不透明度をどうするかは自由です。
この状態で、クリッピング対象のオブジェクトとクリッピングパスを同時に選択しておいて、メニューでオブジェクト > クリップ > クリップを設定を操作します。
ただし、このまま複数のパスを選択しただけでは、最後に描いたパス(一番手前に重なっているパス)だけがクリッピングパスとして用いられるので、次のようになってしまいます。

クリッピングパスを結合
複数のパスを組み合わせてクリッピングパスにするには、その複数のパスを選択しておいて、メニューからパス > 結合を操作して1個のパスオブジェクトに合体しておいてからクリッピングに使います。(参考:パスをつなぎ合わせる/切り離す)

パスの結合(またはパスの排他)を行うと、複数のパスをサブパスとする1個のパスオブジェクトに変換されるので、パスの塗りつぶしのルールにのっとって、挟まれたところがフィル(すなわちクリッピングで切り出される領域)になります。(参考:パスの塗りつぶしのルール)
パスを結合しておいてからクリッピングを行うと、次のようにクリッピングパスのフィル部分が切り出されます。ドーナツ状の穴の外側もちゃんと切り出されています。

この例では結合を使って1つのクリッピングパスに変換していますが、他の統合や排他のようなパスをつなぎ合わせる各種操作(パスオペレーション)を使ってクリッピングパスに変換することもできます。どんな形に切り出したいかに応じて選べます。
(参考:パスをつなぎ合わせる/切り離す)