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InkscapeでCMYKモデルを使って描いてPDFとJPEGで保存してみた

 CMYKモデルを使って色を付けたドキュメントをPDFファイルやJPEGファイルに保存すると、どのように色が変化するのかやってみました。

  (参考:CMYKモデルを使って描いてみた

(2023.1.3更新)

はじめに

 やってみた感想は、Inkscapeから保存したPDFファイルの色を印刷直前(プリンタや印刷サービスで印刷する際)にCMYKモデルの値に変換して印刷することを想定すると、だいたい思った通りの色で印刷できるのじゃないかというものです。ここからさらに厳しく色の再現度について追及しようとすると、ディスプレイ上の色と紙面の色をどうやって比較するのか、という問題になってしまいそうで、さすがにそこまでは考えずにおきます。

RGBとCMYKで描く

 まず、Inkscape上で2種類の図形を描きました。

 左側は、普通にRGB値で色を設定したものです。

 右側は、フィル/ストロークダイアログで「CMS」を選び、直接CMYKの値を指定することで色を設定したものです。ここでは、CMYKの色見本をWebで見ながら、できるだけ近い色になるように値を指定しました。(といっても、CMYKでは特に青や緑の眩しい感じの色が無いので、ずいぶん違う色になってしまうのは仕方ないところです。)

JPEGで保存する

 次に、この2つの図形をそれぞれJPEG画像ファイル(色はRGB値)に保存して、そのJPEG画像ファイルの色を「ImageMagick」というツールでCMYK値に変換してみました。(参考:ImageMagickでCMYK化する

 キャンバス上で直接CMYK値を使って色設定した右側のものはまあまあ見た目の色を保っているように見えますが、左側のRGB値で色設定したものは大きく変化しています。

PDFで保存する

 次に、この2つの図形をPDFファイル(色はRGB値)に保存して、PDFファイルの色を同様に「ImageMagick」でCMYK値に変換してみました。(参考:ImageMagickでCMYK化する


 やはり、右側のInkscape上で直接CMYK値で色設定したものはまあまあ見た目の色を保っているように見えます。

試した結果

 JPEG画像で保存した場合も、PDFで保存した場合も、Inkscape上でRGB値とCMYK値のどちらを使って色指定したかによらずに、RGB値で色情報が保存されます。(そのことも「ImageMagick」を使えば確認できます。)

 ただ、ちょっと手順が増えますが「Inkscape上でCMYK値で色指定 → RGB値に変換された色をキャンバス上で確認 → ファイルにはRGB値に変換されて保存 → 保存したファイルのRGB値をツール(ImageMagick)でCMYK値に変換」という手順を踏めば、まあまあ見た目の色を保ったままCMYK値のファイル(JPEGファイルやPDFファイル)を手に入れることができるように思います。