このページでは、Inkscapeでレイヤやオブジェクトを操作するためのレイヤーとオブジェクトダイアログについて、詳しくまとめたいと思います。
レイヤーとオブジェクトダイアログではいろんな操作が1つの画面(ダイアログ)で実行可能なので、キャンバス上にたくさんのオブジェクトを描いた後の編集作業で重宝します。

- Contents
- レイヤの操作
- オブジェクトの移動
- 非表示とロック
- 不透明度とブレンドモード
(2023.8.14更新)
レイヤの操作
まずは、普通の図形(この場合は4種類)をキャンバスに描いた状態で、ダイアログを表示させてみます。

特に何もしなければ、自動的に付けられた名前(Layer1)の下にすべてのオブジェクトが配置されます。
各オブジェクトの名前も自動的に付けられます。矩形以外は「path」になっています。これでは図形の種類の区別ができないのか?というと、オブジェクト名の左側のアイコンは、ちゃんと図形の種類を表す形になっています。
レイヤの名前もオブジェクトの名前も、その名前の上をダブルクリックすることで変更できます。

新規レイヤを追加するときは、左上の「+」が描かれているボタンを押します。

どの位置にどんな名前で追加されるかは少しややこしいです。新規レイヤはプルダウンメニューのレイヤー > 新規レイヤーからも追加できますが、メニューから追加しようとすると、レイヤ名の入力と、他のレイヤに対してどの位置に追加するかの選択メニューが表示されます。

「現在のレイヤーのサブレイヤー」を選ぶと、現在選択中のレイヤの下位のレイヤとして追加されます。
ここでは「現在のレイヤーの背面側」を選ぶと、次のように選択中だったレイヤの下に追加されます。

そしてレイヤーとオブジェクトダイアログ上の「+」ボタンをクリックして新規レイヤを追加したときは、ここで指定した名前(を自動的に修正したもの)で指定した位置に追加されます。「+」ボタンから追加したときはいちいち名前と位置を指定しなくても「+」のクリックを繰り返すことができます。
追加ボタンを何回か押して複数のレイヤを追加すると次のようになります。

複数のレイヤが追加された場合は、レイヤの左側のアイコンには自動的に異なった色が付けられます。
レイヤを削除するには、レイヤの上でマウスを右クリックすると表示されるメニューでレイヤーを削除を選択します。

ダイアログ上でコントロールキーを押しながらオブジェクトを選択すると、同時に複数のオブジェクトを選択することができ、キャンバス上でもそのオブジェクトが選択状態になります。

シフトキーを押しながら選択すれば、「このオブジェクトからこのオブジェクトまで」というように連続する複数のオブジェクトを選択することもできます。
複数のレイヤも同じように選択することができます。

オブジェクトの移動
オブジェクトを別のレイヤに移動するには、オブジェクトをドラッグして、移動先のレイヤの上にドロップします。移動先のレイヤの上に持ってくると、そのレイヤに枠が表示されます。

ドロップすると次のようになります。

レイヤの中に配置されたオブジェクトのアイコンの色はレイヤの色と同じになります。
キャンバス上でのレイヤやオブジェクトの重なり順を変更することもできます。
オブジェクトをドラッグして、それを上に重ねたい位置に持ってくると、レイヤにドロップするときとはちょっと違う、フタのような形の枠が表示されます。

ここでドロップすれば、すぐ下のオブジェクトの上に重なるように配置されます。
同じように、他のオブジェクトの下に重なるように移動することもできます。今度はお皿のような形の枠が表示されます。

レイヤもオブジェクトと同じように移動できます。次の例では上位階層のレイヤを下位階層に移動して、サブレイヤにしています。

ここでドロップすると、次のようにオブジェクトと同じ並びで、トップレベルのレイヤのサブレイヤ(下位のレイヤ)になります。移動されるレイヤの中に配置されていたもの(オブジェクトやサブレイヤ)も一緒に移動します。

ちょっと変わった移動として、トップレベルと同じ並び(階層)にオブジェクトを移動することもできます。たとえば次のようにトップレベルのレイヤの後ろにドロップすると、

次のようにどのレイヤにも属さないトップレベル(rootレベル)のオブジェクトになります。

なお、削除や移動は、その対象を選択しておいて、ダイアログの右上にあるボタンを押しても実行できます。

非表示とロック
オブジェクトを非表示にしたりロック状態にしたりするアイコンもあります。対象のオブジェクトの上にマウスカーソルを重ねると、そのオブジェクトの右端に非表示アイコン(目のアイコン)とロックアイコン(南京錠のアイコン)が表示され、これをクリックするとオブジェクトごとに非表示とロックを切り替えることができます。

クリックして非表示かつロック状態にすると、次のようになります。目は閉じ、南京錠は鍵がかかっています。

レイヤに対してこれらのボタンを押すと、レイヤ単位で非表示にしたり、ロックしたりできます。
ダイアログ左上、レイヤ追加ボタンの横にレイヤのみのビューに切り替えるボタンがあり、これを押すと各レイヤに配置されたオブジェクトは非表示になってレイヤだけが表示されるモードになります。

不透明度とブレンドモード
オブジェクトの不透明度とブレンドモードをレイヤーとオブジェクトダイアログから変更できます。バージョン1.3で追加された機能です。
各オブジェクトの右のほうに、非表示アイコンやロックアイコンに並んで、小さな四角のアイコンがあります。

このアイコンをクリックすると、不透明度とブレンドモードを変更するためのダイアログが表示されます。

オブジェクトではなく、レイヤの横にあるアイコンをクリックすると、そのレイヤに含まれる全オブジェクトについてまとめて変更することもできます。