このページでは、Inkscapeのフィルタエディタ上では色成分の伝達と表示されるフィルタプリミティブ要素を紹介します。
パラメータとして変換関数(とそのパラメータ、ややこしい)を設定すると、RGBAのそれぞれについて対応する変換関数による変換を行います。
(2023.05.15更新)
変換関数としては、既定の複数の種類から1つを指定します。RGBA値のそれぞれについて異なる変換関数を指定することもできます。

変換関数の種類ごとにその関数のパラメータも指定できます。
以下では、変換関数の種類ごとにどんなパラメータが指定できて、それによってどんな変換が行われるかをまとめていきます。
恒等(identity)
テーブル(table)
変換元のRGBA値の大きさに対して、設定した折れ線グラフ状の関数を使って変換します。
関数のパラメータとしては、テーブル値(tableValues)と呼ばれる、例えば「0 0 1 1」のような文字列(数字列)をフィルタエディタ上で次のように指定します。

このテーブル値では、並べた数字の数が折れ線グラフのつなぎ目にあたる点(角と両端)の数になり、並べた数値それ自体が各点に対応する変換先の値になります。変換元のRGBA値が点と点との間の値の場合もグラフに従って変換されます。テーブル値に1.0よりも大きい値も記述できるようなのですが、記述したとしても結局RGBA値の最大値(例えば#FF)に変換されるようなので、0.0~1.0を指定すればよいようです。
次の図が変換に用いる関数(折れ線グラフ)と、それを設定するテーブル値の様子です。

変換元のRGBA値のほうはテーブル値に記述した数値の数で等間隔に分けられ、それを折れ線グラフでつないだものを関数として、RGBA値の変換を行います。(こういう関数を数学的にシンプルに説明する方法があるのでしょうけれど、知識がない・・・)
実際に、0.0から1.0(#00から#FF)まで青(RGBのB)の値を変化させるようにグラデーションを付けたオブジェクトに対して、いくつかのテーブル値を設定して試してみました。

フィルタなしだと黒から青に向かって直線状に色が変化しますが、青が強い右側を1.0に変換するようにテーブル値を指定する(上から2番目)と、真ん中のあたりだけ色が変化します。青の値が0.5の場合を0.8に変換するようにする(上から3番目)と、真ん中より少し左側も青が強くなります。右端と左端以外をみんな0.5にする(上から4番目)と、端のところだけ変化するようになります。テーブル値は係数ではなく、変換後の値を直接指定するものなので、返還前の値の大きさには関係なく、1.0と記述したところはみんな1.0に変換されます。したがって、0と1を交互に指定する(一番下)と、縞模様になります。
階段(discrete)
テーブルに似ていますが、こちらはテーブル値に従った階段状のグラフを使って変換します。

実際に試してみると、次のようになります。

線形(linear)
ガンマ(gamma)
ガンマ補正関数の指数、増幅率(振幅)、オフセットを指定します。
指数を大きくすると、右下に凹んだような関数になるので、強い値に変換される範囲が狭くなり、全体に黒っぽくなります。
逆に指数を小さくすると、左上に出張ったような関数になるので、強い値に変換される範囲が広くなり、全体に色が濃くなります。

(参考:フィルタとは何か)