このページでは、Inkscapeの組み込みフィルタの1つである、ゴム印を押したような画像に変換してくれるフィルタを紹介します。

(2023.07.12更新)
このフィルタを適用するには、プルダウンメニューでオーバーレイ > ゴム印を操作します。
このフィルタを設定するときはパラメータ指定のためのダイアログは表示されないので、デフォルトのパラメータが設定されますが、次の例では全体が少しゆがんだようになるだけで、ゴム印で押したという感じではありません。

フィルタエディタで、構成しているフィルタプリミティブ要素を見てみると、次のようになっています。

まず元のオブジェクトの不透明度マップにガウスぼかしを加え、それを反転させて元のオブジェクトの不透明度マップ自身と合成します。そうするとオブジェクトの内側にぼんやりと透明な部分が現れます。

そして乱流を使って生成したランダムな画像と重ねます。

これをカラーマトリクスを使って不透明なピクセルと透明なピクセルをくっきり分けるように変換して、それを使って元のオブジェクトをマスクすると、次のようにオブジェクトの内側にランダムに分布する透明部分が「穴」のように開いた画像になります。

最後に変位マップを使って画像全体を少し歪めます。

この例では歪んだ感じが強くなるように変位マップのパラメータ尺度を極端に大きくしています。これではさすがにゆがめすぎなので、実際にはもう少し小さい値を設定するほうが良さそうです。
なお、デフォルトのパラメータではガウスぼかしのぼかしが強すぎて、全体に透明部分が少なくなってしなっており、透明な「穴」が現れにくくなっているので、ガウスぼかしの標準偏差を4.9→1.3と小さくし、さらに「穴」が細かく現れるように乱流の基本振動数を0.06→2.0と大きくしてみました。
さらにデフォルトのパラメータでは少し全体が歪み過ぎていると感じたので、2つ目の乱流の基本振動数を0.03→0.07と細かく変化するようにし、変位マップの尺度を4.1→2.0と小さくしてみました。

これでいい感じに歪みがあって穴の開いた画像になったかと思います。
(参考:フィルタとは何か)