このページでは、Inkscapeで描いた絵図をエクスポート機能を使ってビットマップ画像などに変換して保存する際に、背景部分に好きな色や模様を付ける方法を紹介したいと思います。

(2024.02.23更新)
背景色を指定する方法
Inkscapeのエクスポート機能を使ってキャンバス上に描いたオブジェクトを切り出して別のファイルに保存する(エクスポートする)とき、描かれたオブジェクト以外の領域(背景領域)は基本的に透明になります。
透明ではなく、好きな色で背景領域を塗りつぶした状態でエクスポートするには、エクスポートダイアログの上にある背景色ボタンをクリックしてダイアログを表示させ、そこで背景色を指定します。

このダイアログで好きな色や不透明度を設定する(そして「×」をクリックしてダイアログを閉じる)と、エクスポート時に背景領域がその色で塗りつぶされます。
例えば、次のようなオブジェクトを描きます。

このオブジェクトをそのままPNG画像形式でエクスポートすると、キャンバスの白く見える背景部分(キャンバスの地の部分)は透明なままファイルに保存されます。Webブラウザなどで表示すると次のような感じになります。

一方、エクスポートする前に背景色ボタンをクリックして好きな色を設定してからエクスポートすると、次のように背景領域が塗りつぶされます。

背景用のオブジェクトを重ねる方法
ただし、背景色の設定ではグラデーションやパターン塗りつぶしなどのような通常のフィル/ストロークで可能な塗りつぶし方を設定することはできません。
それならば、エクスポート対象のオブジェクトの下に自分で描いた背景用のオブジェクトを重ねた上で、それごとエクスポートしたほうが簡単そうです。
例えば次のようにグラデーションで塗りつぶした少し大きめのオブジェクトを下に重ねておきます。

この状態でエクスポートダイアログを開き、選択中のもののみエクスポートにチェックを入れずにエクスポートすれば、下に重なっているオブジェクトの重なっている部分も一緒にエクスポートされるので、自由な背景で保存することができます。

なお、選択中のもののみエクスポートにチェックを入れてしまうと、下に重なっているオブジェクトは無視されて保存されてしまうので、背景を設定するという効果はなくなってしまいます。
バッチエクスポートのレイヤー保存機能を使う方法
バッチエクスポートでは、各レイヤに描かれているオブジェクトをレイヤごとにまとめてレイヤごとのファイルにエクスポートする機能があります(詳しくは「バッチエクスポート機能」を)。この機能を使うときに、全部のレイヤについて共通の背景を設定する方法があります。
次の例は3つのレイヤに分けてオブジェクトを描いたサンプルです。

各文字列は自分が描かれているレイヤの名前を表しています。
レイヤーとオブジェクトダイアログを表示してみると、次のような構造になっていることがわかります。

これをレイヤごとにエクスポートすると、次のように保存されます。

レイヤごとのファイルに、それぞれ描かれているオブジェクト(とそれに重なっている他のオブジェクトの一部分)がエクスポートされています。
これらのファイルにまとめて共通の背景を挿入するには次のようにします。
まず、背景にするオブジェクトを下に重なるように描きます。

この状態をレイヤーとオブジェクトダイアログで見てみると次のようになっています。Backgroundという名前のオブジェクトが背景用のものです。
このように単に描いただけでは、背景オブジェクトもいずれか1つのレイヤ(例えばLayer3)の上に描かれているだけで、このままではそのレイヤをエクスポートしたときにしか背景として挿入されません。
そこで背景オブジェクト(Backgroundという名前のオブジェクト)をレイヤーとオブジェクトダイアログの上でドラッグして、どのレイヤにも属さないルート直下に移動します。

この状態でレイヤごとのエクスポートを実行すると、次のようにどのレイヤを保存したファイルにも共通の背景オブジェクトとして挿入されます。
