このページでは、Inkscapeを使ってパスの途中から描き直す方法を考えてみたいと思います。
(参考:パスを作成/編集)
(参考:パスを延長する)
(2024.04.05更新)
「パスを延長する」に書いたように、Inkscapeではペンツールや鉛筆ツールを使うとすでに描かれているパスをその端のところから延長することができます。
ところがそれは端のノードだけで可能な操作であって、パスの途中のノードのところから描き直すような機能はInkscapeにはありません。(AdobeのIllustratorにはそういう機能があるそうです)
そこでInkscapeでも途中のノードから描き直すにはどうすればいいのかを考えてみました。
例えば次のように丸いパスの左右のノードの間を新たなセグメントでつないで描き直したいとします。

Inkscapeでは選択したノードの位置でパスを切り離すことができるので、パスを2個所で切り離して2本のパスに分けたうえで不要なほうを削除し、残したほうの一方の端から「パスを延長する」と同じように延長して、もう一方の端まで延ばせば、結果的に一部分を描き直したことになります。
具体的に書くと次のようになります。

まず切り離したい位置のノード2つを選択します。シフトキーを押しながらノードをクリックすれば選択できますが、正確にノード上をクリックするのが難しければ、上に示したようにAltキーを押しながらマウスをドラッグして赤く表示される軌跡の内側に2つのノードを囲うと簡単に選択できます。(「パスのノードを選択する」)
2つのノードを選択したらツールコントロールバーにある「選択ノードでパスを切断」というボタンを押します。すると上の右端の図のようになります。切り離したところは端のノードが2つピッタリ重なっている状態なので分かりにくいですが、次のようにノードの形が通常の形から少し変化していて、重なっている状態であることが分かります。

パス全体は2本に分かれた状態になっているので、不要なほうの半分を邪魔にならないように少し移動します。
不要なほうのパスの(真ん中あたりの)ノードを1つクリックして選択し、Ctrl+"A"を押します。すると不要なほうのパスのノードが全部選択されてパス全体を移動可能な状態になるので、どれでもいいから選択状態のノードの上でマウスボタンを押し、ドラッグして移動します。

これで描き直したいパスの端が現れます。
不要なほうの部分が短かったりしてラバーバンドで囲いやすい場合は、次のように切り離したいノードも含めて全部選択してから「ノード間のセグメントを削除」の操作を行えば直接不要なほうを削除することもできます。

次にペンツール(鉛筆ツールでも良い)をツールバー上でクリックするとパスの端のところだけにハンドルが表示されます。このハンドルの上でマウスをクリックするとそのハンドルの位置からパスを延長していくことができます。どちらか1つのハンドル上でクリックし、マウスカーソルを移動しながら通常のパスと同じように延長部分のパスを描いていき、最後に反対側の端のハンドルの上をクリックします。

すると、切り離したパスの端と端がつながるので、パスの一部分を描き直したことになります。

この手順はちょっと面倒ですが基本的な操作しか使っていないので、何が起こっているのかわかりやすいかと思います。
別の方法
2つの途中ノードの間をいきなり新しいセグメントでつないでしまう方法もあります。
新たに書き直したい部分の端の2つのノード以外のノードを選択しておいて、Ctrlキー+Delキーを押すと、その選択したノードを削除した上で残ったほうの端のノード同士をまっすぐなセグメントでつないでくれます。あとはその追加されたセグメントを編集(ノードの追加など)して好きな形のパスにすることができます。
