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Inkscapeでガイドラインを描いて位置合わせする

 このページでは、Inkscapeのスナップ機能(ドラッグ時の位置合わせ)の1つであるガイドラインの使い方についてまとめようと思います。

   (参考:スナップ機能(ドラッグ時の位置合わせ)

(2024.10.18更新)

 Inkscapeではキャンバス上にガイドライン(あるいは単にガイド)と呼ばれる直線を加えて、スナップ対象とすることができます。

 ガイドラインをスナップ対象にしておくと、オブジェクトやパスのノードをマウスでドラッグして移動するときにガイドライン上にぴったり揃えることができるようになるので、オブジェクトを一定の角度に傾けるように揃えたり、複数のオブジェクトを直線に沿ってきれいに並べるようにすることが簡単にできます。

おおまかな手順

 ガイドラインを使った位置合わせを行うおおまかな手順は次のようになります。

  1. スナップダイアログで「ガイドライン」にチェックを入れる(ガイドラインをスナップ先とするスナップが有効になる)。
  2. キャンバスの特定の位置(いくつかある)に新しいガイドラインを生成する。
  3. 生成したガイドラインをオブジェクトをスナップさせたい位置や角度に移動する。
  4. スナップ対象のオブジェクトをドラッグしてガイドラインの近くに移動することでガイドラインに対してスナップさせる。

スナップダイアログの設定

 スナップダイアログ上で「ガイドライン」という項目にチェックを入れます。

 そうするとキャンバス上のガイドラインをスナップ先としてスナップするようになります。

 もちろんこのチェックと一緒にどんな編集を行いたいかに応じてどこをスナップ対象とするかにもチェックを入れます。

 例えばテキストのベースラインを水平のガイドラインにスナップしたいときは次のようにダイアログで設定します。

 こうしておいて、水平のガイドラインを描き、テキストオブジェクトをドラッグしてそのガイドラインの近くに移動してくると、そのテキストオブジェクトのベースラインがガイドライン(青い水平な線)に対して吸い寄せられます。

 なお、あとでもう少し詳しく説明しますが、ガイドライン自体を他のスナップ先に対してスナップさせることも可能です。

ガイドラインを描く

 ガイドラインは次のいずれかの操作で描きます。どの操作で描いてもスナップ対象としての性質には違いはありません。

 また、描き方に関係なく、自由にガイドラインを追加したり削除したり移動したり回転したりすることができます。

1. ページの周囲に作成する

 メニューで編集 > 現在のページの周囲にガイドを作成を操作すると、キャンバスのページ枠の上下左右に新しいガイドラインが現れます。


2. オブジェクトをガイドにする

 シェイプやパスを選択しておいて、メニューでオブジェクト > オブジェクトをガイドにを操作すると、そのオブジェクトの境界枠(バウンディングボックス)の四辺に沿ったガイドラインに変換されます。

 円弧星形などの場合も長方形のバウンディングボックスの4本の辺を延長したようなガイドラインに変換されます。

 オブジェクトを回転や変形してからガイドラインに変換すると、変換時のバウンディングボックスに沿ったガイドラインになります。

 矩形に限っては、環境設定の矩形ツールのオプションに「ガイドへの変換に境界枠の代わりにエッジを使用する」というものがあり、これにチェックを入れると、回転や変形をした後でも矩形の四辺に沿ったガイドラインに変換されます。


 パスの場合はまっすぐなセグメントだけが抽出されて、そのセグメントを延長したようなガイドラインに変換されます。

 オブジェクトグループであるか否かに関係なく、複数のオブジェクトが選択されている状態でガイドラインに変換すると、各オブジェクトごとにガイドラインに変換されます。

 ただし、環境設定ダイアログのツールタブ上でチェックボックスを切り替えると、ガイドラインに変換する際に元のオブジェクトもそのまま残すようになったり、オブジェクトグループ全体のバウンディングボックスをガイドラインに変換するようになったりします。

3. ルーラからドラッグする

 キャンバスの端に表示されている目盛り(ルーラと呼ばれる)のところでマウスボタンを押してキャンバスの内側に向かってドラッグすると新しいガイドラインが現れます。

 左端のルーラからドラッグすると垂直のガイドラインが現れ、上端のルーラからドラッグすると水平のガイドラインが現れます。

 また、ルーラの左上・左下・右上の隅(の近辺?)からキャンバスの内側に向かってマウスをドラッグすると斜め45度のガイドラインが現れます。

 ルーラのところから何度もドラッグすれば何本でもガイドラインを追加することができます。

4. ガイドラインを編集する

 ガイドラインはとても細いので少し難しいですが、ガイドラインのどこでもいいのでマウスでドラッグするとガイドラインを並行移動することができます。

 またガイドラインの上には1つだけ小さい丸(●)が描かれていますが、シフトキーを押しながらガイドラインをドラッグすると平行移動ではなくこの小さい丸を中心として回転させることができます。

 平行移動でも回転でもガイドラインを他のスナップ対象に対してスナップさせることもできます。

 その小さい丸(●)自体をドラッグすると、その位置を変更したり、他のスナップ対象に対してスナップさせることもできます。

 ガイドラインをスナップさせる機能を使えば、一旦描いたガイドラインを他のオブジェクトにぴったり揃う位置に移動したり、特定の位置を中心にして回転させたりすることが簡単にできるので、「オブジェクトAにガイドラインを合わせ、次にオブジェクトBをそのガイドラインに合わせる」という感じの編集が可能になります。

 さらに、マウス操作ではなく、数値でガイドラインの位置を指定することもできます。ガイドラインの上でダブルクリックする(細いので難しい!)と次のような数値で直接指定できるダイアログが表示されます。ここで(水平線から時計回りの)角度も指定できるので、任意の角度にガイドラインを引くことができます。

5. ガイドラインをロックする

 ガイドラインの位置を変更できないようにロックすることもできます。

 上に書いたようにガイドラインをダブルクリックすることで表示されるダイアログ上に「ロック済み」というチェックボックスがあるのでこれにチェックを入れると、ダブルクリックしたガイドラインをロックすることができます。

 また、キャンバスの左上にある南京錠のアイコンをクリックすると、その時点で描かれているすべてのガイドラインがロックされます。もう一度クリックするとロックが解除されます。一部のガイドラインだけロックしてある状態でそれを解除するときもこのアイコンをクリックします。同じことはメニューの編集からも実行できます。

 ガイドラインのロック機能はバージョン0.92のころに追加されたらしいですが、少し中途半端な操作性になっているので分かりにくいです。特定のガイドラインのロックだけ解除することはできないようですし、特定のガイドラインだけロックした状態でガイドラインを追加するとそのロックも勝手に解除されてしまいますし、すべてのガイドラインをロックした状態でガイドラインを追加するとそれも最初からロックされた状態になります。


 他にも細かい編集機能があります。

  • Ctrl+回転で15度単位の回転
  • ダイアログの複製ボタンで複製
  • ダイアログで入力したラベルをガイドライン上に表示
  • キャンバス外へのドラッグで削除
  • メニューすべてのガイドを削除で全部削除