お絵描きソフトInkscape(インクスケープ)の使い方を初級レベルから上級レベルまで広く紹介しています。
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Inkscapeで縁に沿ってグラデーションを作る

 このページでは、Inkscapeを使ってパスオブジェクトの縁(ストローク)に沿ってグラデーションを設定する方法を考えてみたいと思います。

 Inkscapeの基本機能である「グラデーション」はパスの形に関係ないシンプルな向きでしか設定できません。

 「メッシュグラデーション」を使えばいろんな向きを混ぜたグラデーションも設定できますが、メッシュグラデーションはクセが強くてなかなか思ったように描けません。

 もう少し簡単に設定できないかということで、次のような方法を考えてみました。

 直接グラデーションを設定するのが難しいので、同じ形のオブジェクトを重ねて一方に「ぼかし」を入れるという方法をやってみます。ぼかされた位置では2つの重なっているオブジェクトの色が混じることになるので、グラデーションのような効果を得ることができます。

 まず部品を用意します。同じ形のパスとして、クリッピング用のパスとストロークの幅を大きくしたパスとフィルを塗りつぶしたパスを用意します。

 これを左のものが上にくるように重ねた上で、幅の大きいパスに「ぼかし」を入れます。

 これらをぴったり重ねた上で、一番上のパス(赤いパス)でクリッピングすると、次のようにパスの縁に沿ってグラデーションを付けたような見た目になります。

 どんな形のパスでも同じことができます。

 次の例は星形(のパス)でやってみたものです。

 ところでもう少しグラデーションの範囲(色が混じっている部分)を大きくしようと思って真ん中の幅の大きいパス(青いパス)の幅を大きくし、かつ、「ぼかし」をもっと大きくすると、次のようになります。

 「ぼかし」を大きくすると角度の小さい頂点のあたりで「ぼかし」の形が丸っこくなってしまい、縁に沿っているという感じではなくなってしまいます。

 ストローク1本だけを「ぼかし」の対象にしているからこうなってしまうので、1本のストロークに大きな「ぼかし」を入れるのではなく、少しずつ変化する数本のストロークの各々に小さな「ぼかし」を入れて重ねれば、全体としてパスの縁に沿った「ぼかし」になってくれます。

 大きさと色の違うパスを重ねておいて、両方選択した状態で「パス間の補間」というエクステンションを使って少しずつ変化するパスを生成します。これは「パスの幅方向のグラデーションを作る」で考えた手順と同様です。

 パスが隠れないように試しにずらしてみると次のように重なっていることが分かると思います。

 そしてこのパスのうち、一番外側のパス(青いパス)以外のパスに「ぼかし」を少しだけ入れます。

 ぴったり重なっている状態では次のように見えます。パスの縁の形をある程度維持したままでグラデーションを設定することができます。