このページでは、Inkscapeのバケツツールを使って通常の操作では塗りつぶせない小さい隙間や巨大な領域を塗りつぶす方法について紹介します。

(2024.06.11更新)
Inkscapeのバケツツールを使うと、境界線で区切られた閉じた領域を塗りつぶす(正確には塗りつぶしたように見える形のパスを生成する)ことができます。
基本的なバケツツールの使い方は「バケツ(塗りつぶし)ツールの詳細」のほうにまとめてあります。
ところで、バケツツールを普通に使うだけではうまく塗りつぶれない特殊な領域があります。
「小さい隙間」と「巨大な領域」の2つです。
「小さい隙間」は塗りつぶす範囲を自動的に抽出する際に細かすぎるせいか無視されてしまいます。
「巨大な領域」はあまりにも大きい領域を抽出してしまうと生成するパスも巨大になりすぎてしまうのを防ぐために、自動的に領域の抽出を中断するようになっているらしく、領域の途中までしか塗りつぶされません。
いずれにしても、ユーザの目からは明らかに1個の閉じた領域なのに、その領域内をクリックしても領域が端まで塗りつぶれたようになりません。
その場合の対処方法は以下のようになります。
小さい隙間も塗りつぶす
次のように小さい隙間を含む領域をバケツツールで塗りつぶしたいとします。
こういう小さい隙間を含む領域の上をバケツツールでクリックしても、隙間のところで塗りつぶしが止まってしまい、中途半端な結果になってしまうことがあります。

こんなときはどうすればいいかというと、キャンバスをズームインして、隙間が大きく見えるようにしてからクリックします。塗りつぶす領域の抽出はキャンバスに表示されているピクセル群に対して行われるらしく、ズームインしてからクリックすれば隙間も大きくなっているのでInkscapeは今度は塗りつぶし領域として抽出してくれるようです。

ではどのぐらいズームインすればいいかというと、なんとも言えません。バケツツールのパラメータはこのことに無関係なので、少しづつ大きくしながらやってみるほうが早いかもしれません。
ではとにかく大きくすればよいかというと、大きくしすぎた場合、次に説明するように巨大な領域も塗りつぶしに失敗する場合があるので気を付ける必要があります。
巨大な領域を塗りつぶす
例えば大きくズームインすることでInkscapeのウィンドウよりも大きく表示されている状態の領域をぬりつぶしたいとします。
通常通りその領域内をクリックすれば塗りつぶしが実行されます。

ところが領域が大きすぎて、実は端まで塗りつぶれないことがあります。この例でもズームアウトすれば領域全体を表示することができますが、次のように途中まで塗りつぶしたところで「あきらめて」しまっている場合があります。

この場合は続けてシフトキーを押しながら塗りつぶし損なったほうをもう一度クリックします。そうするといわば「塗りつぶしの付けたし」のような機能が働きます。

1つ前に生成したパスに加えてもう1個のパスが生成されてしまいそうですが、ちゃんと1つに合体した(統合された)パスになっています。

ところで、あまりにも大きい領域の中をクリックした場合、何も起こらずにウィンドウ下部のステータスバーに次のようなエラーメッセージが表示されることもあります。

あまりにも大きくて無限に広がっている(すなわち境界線で囲まれていない)領域だという判定をしてしまっているらしいです。
この場合はキャンバスをズームインしてエラーが出なくなるようにします。