このページでは、Inkscapeを使ってビットマップ画像の中の境界線をトレースしてパスオブジェクト化し、さらに独立したオブジェクトに分割する手順について考えてみました。

(参考:画像トレースの前提知識)
(2024.06.12更新)
例えば次のような複数の絵図(この例では文字)が描かれている画像があるとして、この境界線を自動的にトレースしてパスオブジェクト化したうえで、1つ1つの絵図にバラバラに分割してそれぞれ編集できるようにしたいとします。

これをまずInkscapeの「トレース機能」を使ってパスオブジェクトに変換します。
例えば次のような設定でトレースを実行します。

この場合は白黒のパスを生成するようにトレースしたので、次のように同じ形で白黒のパスが生成されます。

この生成されたパスはまだたくさんのサブパスが一体化した状態なので、1文字ごとに編集することはできません。ノードツールで一部分を選択してみると次のように文字と文字とは同じパスに含まれています。

この状態を模式的に示すと次のようになります。トレース方法にもよりますが、この例でのトレース方法では同じ色の部分がそれぞれパスオブジェクトになっていて、かつ、全体はオブジェクトグループ化されています。

これをバラバラにするには全体を選んでおいて、右クリック → グループ〇〇に入るを操作します。するとオブジェクトグループを解除することなく、その中のオブジェクトを直接選択したり編集したりすることが出来る状態になります。(参考:オブジェクトの選択操作(補足))
この状態でマウスをドラッグして全体を囲うと、次のようにグループのほうではなく中のオブジェクトが全部選択された状態になります。

ここでパス > パスを分割を実行します。そうすると互いにつながっていない(独立している)サブパスがバラバラになってそれぞれ単独のパスオブジェクトになります。
ノードツールを選んで、Altキーを押しながらマウスをドラッグして1文字だけ囲います。

するとその文字(のパスオブジェクト群)だけが選択されます。

そしてこの選択状態のパスオブジェクト群をグループ化します。
グループ化した1文字分のパス群は単独で編集(例えば移動)することができるようになっています。

ちなみにパスをカットなどの機能でもバラバラにすることは可能ですが、トレースで生成されるパスの構造は意外に複雑で、いろんなサブパスが重なり合った構造になっていることが多いので、うまくいかない(ちょうどいいところでカットするには手間がかかる)ことが多いです。
また、グループを解除してから操作してもバラバラにすることは可能ですが、完全に独立したパスオブジェクトになってしまうので、個々に編集可能にすると同時に全体をまとめて編集することも出来る状態を保つために「グループ〇〇に入る」という機能を使うことを考えてみました。