このページでは、Inkscapeで描いたオブジェクトが見えなくなる理由についていくつか注意していることをまとめてみました。
(2024.07.19更新)
オブジェクトのフィルもストロークも見えない状態になると、当然オブジェクトそれ自体も見えなくなります(透明人間のようになります)。
オブジェクトを描いたはずなのに何も見えないと「どういうこと?」と思ってしまいますが、フィルとストロークのそれぞれがなぜ見えないのかを調べればどうということもありません。
この話は「色を付けたはずなのにフィル(またはストローク)がその色にならない(透明のままだ)」というケースにも通用する話だと思います。
以下に思い付く「見えなくなってしまう理由」を挙げていきたいと思います。
理由1:不透明度がゼロになっている
Inkscapeでは色を透明にする(不透明度をゼロにする)操作が2種類あります。不透明度その1と不透明度その2があると言ってもいいです。そして最終的に表示される色は不透明度その1x不透明度その2になるので、どちらか一方がゼロに設定されていると透明になってしまいます。
フィルまたはストロークがどうやっても透明になってしまう場合は両方の不透明度の値をチェックして、どちらかがゼロになっていないかを確認します。
不透明度については「不透明度についてのあれこれ」にメモしてあります。
理由2:「塗りなし」を設定している
「塗りなし」はSVG形式の属性として「fill:none;」や「stroke:none;」と記述される状態のことで、透明であるということとはちょっと違いますが、結果的に透明と同じ状態です。
理由3:色を「アンセット(未定義)」にしている
ストロークのスタイルを「アンセット」に設定するとストロークは見えなくなります。ちなみにフィルを「アンセット」に設定すると真っ黒に表示されます。
スタイルを「アンセット」に設定するとステータスバーにも「アンセット」とカタカナで表示されます。
「アンセット」はクローンのスタイル設定によく使われる機能なので「クローンを作る」のほうで詳しくまとめてあります。
理由4:ストロークの幅をゼロにしている
ストロークの幅をゼロに設定すると当たり前ですがストロークは表示されません。
理由5:ストロークの線種として大きい空白のある点線を設定している
これはあまり可能性のない話だと思いますが、点線などを線種として設定する際に、空白の大きい(長い)パターンの点線を選ぶと、点線の「点」の部分が見えない点線になってしまうことがあります。
点線の空白の長さはストロークの幅に応じて決まるので、非常に小さく、かつ、ストローク幅の大きいようなオブジェクトに対して空白が長めの点線を設定してしまうと、空白ばかりが見えているストロークになってしまいます。
理由6:グラデーションパスが重なっていない
グラデーションパス(特に線形グラデーション)はデフォルトでは設定時にオブジェクトの端から端に引いてあり、かつ、その一方の端は不透明度ゼロ(すなわち透明)になっています。
ところがその端を越えた領域はその端の色と同じ色(不透明度も同じ)がそのまま延長されるので、グラデーションパス(あるいはオブジェクトのほう)を動かしすぎてオブジェクトからはずれた位置まで移動してしまうと、オブジェクト全体が透明になってしまい見えなくなってしまうことがあります。

特にグラデーションをオブジェクトと一緒に移動しない設定をしているとこういうことは起こりやすいです。詳しくは「オブジェクトと塗りつぶしを連動」を。