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Inkscapeで見えないオブジェクトを選択するには

 このページでは、Inkscapeで存在するけれど見えなくなっているオブジェクトを選択する方法についてまとめてみたいと思います。

 そもそもキャンバス上で見えなくなっているオブジェクトにはどんなものがあるかというと、

  1. 他のオブジェクトの下にすっぽり隠れている
  2. フィルやストロークが透明(不透明度=0%)になっている
  3. フィルやストロークが「塗りなし」になっている
  4. そのオブジェクトを非表示に設定している

というようにいろんなケースがあります。

 キャンバス上で見えなくなっているので、マウスでクリックするといった普通の方法ではもちろん選択する(そしてそのあと編集する)ことができませんから、これらのオブジェクトを選択するにはちょっと特殊な方法を使う必要があります。

 例として次のようにオブジェクトを描きます。

 そしてそれをそれぞれの方法で見えなくします。

 「通常」以外のオブジェクトはクリックするだけでは選択できなくなっています。

 「この辺にあるはず」とあたりを付けて、マウスをドラッグしてラバーバンドの枠で囲えば選択できなくはないですが、見えないのでそもそもあたりを付けるのが難しい。

 まず、基本中の基本、「アウトラインモードで表示」する方法です。キャンバスの右上隅にあるボタンをクリックすると表示モードを指定するダイアログが表示されます。(プルダウンメニューからも指定することができます。)このダイアログで「アウトラインオーバーレイ」を指定します。するとオブジェクトの骨格(アウトライン)が細い線で表示されるモードになります。「アウトライン」というモードもありますがこちらはアウトラインのみが表示されるので、オブジェクトの区別が付きにくくなりそうだという理由から、アウトラインを表示するとともにオブジェクト自身も重ねて表示してくれる「アウトラインオーバーレイ」が良いかと思います。

 オブジェクトのフィルやストロークも重ねて表示されますが、表示されているだけで操作の対象にはなりません。オブジェクトの選択操作はあくまでもアウトラインの線の方についてだけ行われます。なお、非表示オブジェクトはこのモードでも非表示のままなので、依然として選択しやすくはないです。

 ここで、アウトラインの線の上をクリックすれば選択状態にすることができるのですが、線が細いので正確に線の上をクリックするのは少し難しいです。そこで何も選択していない状態からAltキーを押しながらドラッグして選択したいオブジェクトのアウトラインを横切るように動かします。

 そうすると赤い軌跡が描かれて横切ったオブジェクトが選択状態になります。この例では下に隠れているオブジェクトが選択状態になります。

 非表示オブジェクトだけはこの手順でも選択できないので、レイヤーとオブジェクトダイアログを表示します。非表示設定されているオブジェクトの右のほうに閉じた瞳のアイコンが表示されているので、すぐ見つけることができます。非表示オブジェクトが多数ある場合はそれでもまだ簡単とは言えませんが。

 次はオブジェクトを検索することで選択状態にする方法です。

 準備として環境設定画面で各オブジェクトの選択状態として「境界枠」を表示するよう設定しておきます。



 そして検索/置換ダイアログで非表示のオブジェクトを含むにチェックを入れてから検索します。検索条件は特に指定せずに検索ボタンをクリックします。

 すると、非表示オブジェクトも含めて見えないオブジェクトの位置にも選択状態であることを示す点線の矩形が表示されます。

 ただし、この例のように他のオブジェクトも同時に選択状態になったりするので、見えないオブジェクトを見つけるだけでなく、どれか1つを編集したい場合は改めて別の方法(例えばマウスをドラッグして囲う方法)で選択し直す必要があります。

 なお、同じことは例えば全選択(Ctrl+'A')でもできそうに思いますが、その場合は非表示オブジェクトは選択状態になりません。

 裏技的な方法としては、何か適当なオブジェクトを一時的に追加して、そのフィルとストロークを塗りなしや透明に設定した上で、編集 > 同じオブジェクトを選択 > フィル/ストロークメニューを操作すると、同じ理由で見えなくなっているオブジェクトが全て選択状態になり、発見することができます。

 ただし、見えなくなっている理由があらかじめ分かっているときだけ使える方法かもしれません。

 また、環境設定の画面で次のように「透明なオブジェクト…を選択」というオプションがあります。

 このオプションをオンにしても見えないオブジェクトをクリックだけで選択できるように一瞬思いますが、これは透明色で塗られた(不透明度=0%で塗られた)ところをクリックしても選択できるようになるだけで、塗りなしや非表示にしているために見えないオブジェクトは選択できるようにはなりません。


 他にもいい方法を思い付いたらここに書き加えていきたいと思います。