お絵描きソフトInkscape(インクスケープ)の使い方を初級レベルから上級レベルまで広く紹介しています。
情報追加のリクエストや分かりにくい点があれば下のCONTACTフォームからどうぞ。

Inkscapeでハートマークを描く

 このページでは、Inkscapeを使ってハートマークを描く方法を考えてみました。

(2025.01.20)

 Inkscapeの組み込み部品(シンボル)にハートマークがあればよかったのですが、どうもなさそうです。

 最初は円や直線を組み合わせてハートっぽい形にすることを考えたのですが、最終的になめらかにつながったパスに直すのが難しかったり(シェイプビルダを使っても案外難しい)、見た目の印象が「固い」感じがしたりして、どうも納得できる結果になりません。

 ネットで検索すると、基本図形を組み合わせて描く方法を紹介するものが多いですが、手書きに近いような描き方を紹介するものもあります。

 そもそもどんな形がハートマークの標準的な形なのかというのもあります。これもネットで検索してみましたが、正解はないみたいでした。大雑把にいえば次の4種類のタイプがあるようです。

 左から、下側がゆるくカーブしているもの(タイプ1)、上側の谷間がタイプ1よりも浅いもの(タイプ2)、下側が直線状になっているもの(タイプ3)、下端が小さく尖っているもの(タイプ4)です。

 個人的にはタイプ1が好みですが、他のタイプもよく見かけます。

 基本図形を組み合わせる方法の結果に満足できないので、その方法はやめて、直接パス(ベジエパス)を変形して描いてみることにしました。

 まずそもそもの話として、ハートは左右対称なので、半分だけ描いて「複製→左右反転→端のノードをスナップさせて位置合わせ」という手順で描けばよさそうです。

 この例では左半分のパスを雑に描いているので、最後の段階で上の端と下の端が両方ぴったり重ならずにズレていますが、垂直なガイドラインを表示させて、その上に端の2つのノードをスナップさせるようにすれば、上下をどちらもぴったり重ねることができるようになります。

 また、端点を重ねた後、対称な2つのパスを単に「結合」しただけでは次のように端点は同じ位置に重なっているだけで1つのノードに合成されていないので、コーナーがきれいにつながっていません。

 2つの重なっているノードを1つのノードに合成(Inkscapeでは「端点ノードを連結」と呼ぶ)するには、ノードツールを使って重なっているノードをラバーバンドで囲うことで両方とも選択しておいて、ツールコントロールバーの「選択した端点ノードを連結」ボタンをクリックします。

 そうするとコーナーがきれいにつながります。

 ということを基本的な手順として、上に示したタイプ1のハートから描いてみます。

 垂直なガイドラインに沿って垂直なセグメントを1本描いて、そのセグメントの真ん中あたりをドラッグして大雑把に曲げ、細かい曲がり具合の調整は端点ノードのハンドルをドラッグして行います。端点ノード以外にノードを作らなくてもハンドルのドラッグだけでハートの半分を作ることは思ったより簡単にできます(詳しい操作方法は「パスを作成/編集」を)。端点ノード自体を上下に動かしたいときはガイドラインにスナップさせつつドラッグします。

 これを上に書いたように「複製→左右反転→合体」したうえで重なっているノードの連結を行えばハートになります。

 上に示したタイプ2にするのも簡単です。

 上側のノードのハンドルを寝かせたり、上側のノードを少し持ち上げれば、谷間の小さいハートになります。

 タイプ3は少しややこしくて、パスの真ん中あたりをダブルクリックしてノードを追加した上で、下側のセグメントの上をAltキーを押しながらダブルクリックしてまっすぐにします。

 タイプ4はさらに一番下の端のすぐ近くにもノードを追加して、ちょっとだけ曲げます。