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Inkscapeでパノラマ画像を作る

 このページでは、Inkscapeを使って極座標に沿って写真画像を丸めて360°見渡したパノラマ画像のようにする方法について考えてみました。

(2025.01.27更新)

 「リング状のパターンを描く」のほうで書いたように、「曲げる」というパスエフェクトを使うと、任意のパスをぐるっと一周させて円環状に変形することができます。

 ただし「パスエフェクト」という名前の通り、これはパスオブジェクトにしか応用できない方法で、写真をInkscapeにインポートして作ったビットマップオブジェクトには使えません。

 かといって、ビットマップオブジェクトにも適用できる「フィルタ」の中にはそういう効果のあるものはないし、それらしい変換結果を得るにはどうしたらいいかをいろいろ考えて、写真っぽさを残しつつビットマップをパスオブジェクトに変換してから「曲げる」エフェクトを適用してみることにしました。

 まず、写真画像をインポートしてビットマップオブジェクトを生成し、それとは別に円オブジェクトを描きます。そして円オブジェクトに対してメニューでパス > オブジェクトをパスへを操作して円の形のままパスオブジェクトに変換します。

 次にビットマップオブジェクトのほうに対してパス > ビットマップのトレースで色の境界線を自動的にトレースさせてパスに変換します。上がビットマップオブジェクトで、下がそれをトレースした結果パスオブジェクトになったものです。全部で17万個(!)のノードを持つパスに変換されています。

 もちろん写真ほどの解像度はないので、拡大すると次のようにかなり荒っぽいですが、パノラマ画像の元にするにはそこそこ写真っぽさを残せていると思います。

 なお、トレースするときのパラメータを変えればさらに細かい色の変化もトレースできるので、生成されるパスをもっと写真っぽい細かいものにすることもある程度可能ですが、Inkscapeの負荷が非常に高くなる(ほとんど操作不可能になったりする)ので、少々粗めなトレースでもいいかなと思います。

 ここでさきほど描いた円をクリップボードにコピーしておいてからトレース結果のパスオブジェクトに「曲げる」エフェクトを適用して、「曲げる」エフェクトのダイアログ上で「パスを貼り付け」ボタンをクリックすると、トレース結果のパスオブジェクトが円に沿って曲げられます。この詳しい手順は「リング状のパターンを描く」のほうを。