このページでは、Inkscapeの画面(全体や一部分)が大きすぎて、あちこちが隠れてしまったりして操作しにくいという問題についてメモしていきたいと思います。

- Contents
- 画面構成の復習
- キャンバスが小さい
- ダイアログの幅が大きすぎる
- ウィンドウ全体が大きすぎる
(2025.03.23更新)
Inkscapeはドローツールにありがちですが(欠点というほどではないけれど)アイコンやボタンやメニューなどのアイテムの数がとても多くてウィンドウ上にぎっしり並んでいるので画面のレイアウトがとても複雑です。
スクロールさせたりポップアップさせたりして何とかウィンドウ上に表示できるようにしてくれていますが、それでも限界があって、ウィンドウの大きさが足りずにアイテムの一部が隠れてしまったりします。
隠れてしまったアイテムや領域を見えるようにするために余計な操作が必要だったり、どんなにがんばっても表示できない場合もあったりして、使いづらさを感じることも多いです。
それでも、隠れてしまう部分をだましだまし何とか表示させて使っているような感じです。
そこで、そんな場面に出くわしてもいちいち悩まなくて済むように「どんなふうに『だましだまし』操作しているのか」を以下にメモしておこうと思います。
画面構成の復習
「InkscapeのGUI画面構成」のほうに書いてありますが、Inkscapeの画面構成がどうなっているのかをここで復習しておきます。
Inkscapeをインストールした直後の画面の構成はだいたいこんな感じです。これを踏まえて「画面が隠れてしまう原因と対処方法」をメモしていきます。
キャンバスが小さい
まずは簡単なところから。
オブジェクトを描く領域は「キャンバス」と呼ばれていますが、Inkscapeのウィンドウ全体に対して半分ぐらいの幅でしか表示されないので、狭く感じることがあります。ウィンドウ右半分の「ダイアログ」と呼ばれる領域が大きすぎるから、とも言えます。
だからといって、ウィンドウ全体をどんなに大きくしようとしても(例えば全画面表示にしても)デスクトップの大きさが上限なので、キャンバスの大きさもそれ以上は大きくできません。
そこで、キャンバスとダイアログの間にあるボーダーの部分( ←これ、スプリッタとかディバイダと呼ぶらしいです)を右のほうにドラッグすればウィンドウ右半分のダイアログを小さくすることができます。逆にいえばキャンバスのほうを少し大きくすることができるということです。また、ボーダーの部分をウィンドウの右端までえいやっとドラッグするとダイアログを全部隠したりすることもできます。

ダイアログの幅が大きすぎる
ところで、メインウィンドウの(デフォルトでは)右側に配置されるダイアログ(フィル/ストロークダイアログやエクスポートダイアログなど)の表示エリアが大きすぎるのでその幅を縮めたくて、上に書いたようにボーダーの部分を右のほうにドラッグして右側のダイアログの部分の幅を縮めようとしても、いい感じの幅に縮められなくて困ることがあります。
原因は、現在開いているダイアログの中に、画面の最低限の幅がけっこう大きいものが混じっているからのようです。
Inkscapeは「ウィンドウ/ダイアログの特殊な機能」に書いたように、用意されている各種ダイアログの中から必要なものだけを開いて、ウィンドウの右半分に重ねて配置します。操作したいダイアログを表示するにはダイアログの上部のタブのところをクリックします。

そして、複数のダイアログが開いている状態では、ダイアログ表示領域の幅は、現在開いているダイアログそれぞれの「最低限の幅」のうち最も大きいものになるようです。結果的に、タブをクリックして表示させた(アクティブな)ダイアログが見た感じでもっと幅を小さくすることができそうなものに見えても、重なって隠れている他のダイアログの中に「最低限の幅」が大きいものが混じっているとそれより縮めることができなくなります。
ダイアログ表示領域の幅をもっと小さくしたいときは、フィル/ストロークダイアログのような比較的「最低限の幅」の大きそうなダイアログを閉じてしまう(タブの「x」をクリックする)か、とりあえず必要のないダイアログを閉じまくってしまえば、残ったダイアログの幅をもう少し縮められる場合があります。
ちなみにフィル/ストロークダイアログやタイルクローンダイアログは「最低限の幅」の大きいダイアログですが、それらのダイアログの上にはメインのタブとは別にダイアログ独自のタブ(下位のタブ?)が並んでおり、その独自タブが全部表示できるような幅をダイアログ自身の「最低限の幅」にしているために画面が他のものに比べて大きくなってしまうものと思われます。

それでもいい感じに縮められない場合はタブのところをメインウィンドウの外側にドラッグして独立したウィンドウにしてしまうと早いかもしれません。そうすればメインウィンドウのほぼ全体をキャンバスで占めることができるので。
ダイアログの細かい操作方法については「ウィンドウ/ダイアログの特殊な機能」を。
ウィンドウ全体が大きすぎる
Inkscapeのウィンドウが大きすぎて他のアプリケーションの画面が隠れてしまうので、Inkscapeのウィンドウを小さくしたいときがありますが、マウスでウィンドウの端をドラッグして縮めようとしても、ある大きさまで縮んだところでそれ以上縮まなくなってしまうことがあります。(※これは「バージョン1.4.2」になってある程度解決しましたが、参考までにこのページは残しておきます。)
どうしてかというと、Inkscapeのウィンドウ上に配置されている各種アイテムの中に、ウィンドウを小さくすることによって自分が隠れてしまうのを拒否するやつがいるからです。
プルダウンメニュー、ツールコントロールバー、コマンドバーがそいつらです。
比較のため、ウィンドウ左端のツールバーではどうなるのかを見てみます。

ツールバーにも多くのボタンが並んでいて、ウィンドウ全体を縦に縮めると下のほうが隠れてしまいます。でも、マウスホイールをぐりぐりすればツールバーを上下にスクロールすることができるので、隠れている部分を上に移動させて見えるようにする(そして当然クリックできるようにする)ことができます。
これに対し、反対側のウィンドウ右端に縦に並んでいるコマンドバーは、一番下のボタンが隠れてしまうようなウィンドウ縮小を拒否してきます(それ以上ウィンドウの端をドラッグしても縮まなくなります)。

このため、Inkscapeのウィンドウはコマンドバーの全ボタンが表示されている状態よりも縦に縮めることができません。結果的に、コマンドバーの高さよりもデスクトップ画面の高さのほうが小さい場合は常にInkscapeのウィンドウの下辺がデスクトップから出っ張った状態になってしまうので、例えばウィンドウの下のほうのカラーパレット部分が隠れてしまって結構困ります。
コマンドバーのボタンを減らすようなカスタマイズができればいいのですが、その方法は見つかっていません。そこでメニューの表示 > 表示/非表示でコマンドバーのチェックをはずしてコマンドバー自体を非表示にしてしまうか、表示 > ワイドスクリーンのチェックをはずしてコマンドバーをウィンドウの右サイドではなくプルダウンメニューのすぐ下に横向きに表示させるようにすれば、ウィンドウは縦に縮めることができるようになります。
ちなみに、コマンドバーに並んでいるボタンは個人的にはほぼ使うことがないので(プルダウンメニューやショートカットキーで操作できるものばかりなので)コマンドバーは非表示にしてしまっています。
次にツールコントロールバーです。ここにも選択しているツールによってはたくさんアイテムが並ぶことがあって、かつ、それらが全部表示されている状態よりもウィンドウを横に縮めることができません。Inkscapeバージョン1.4でツールコントロールバーの上の一部アイテムが自動的にグループ化された状態に変化してくれるようになったのでウィンドウも以前よりは少しだけ縮めやすくはなりましたが、例えば次のようにノードツールを選択しているときなどは、ツールコントロールバー上のアイテムもすごく多くて、そのせいでウィンドウもそんなに縮めることができません。

ツールコントロールバー自体を非表示にすることもできますがツールコントロールバーは無いと困るし、別の位置に移動することもできないようなので、コマンドバーのようにはいきません。どうしてもウィンドウの幅を小さくしたいときは、一時的にでもツールバーにあるツールの中からツールコントロールバーに表示されるアイテムが少ないツールを選択するしかなさそうです。そうすればウィンドウの幅をかなり小さくしてもツールコントロールバー全体は表示されたままになります。次のように矩形ツールあたりがツールコントロールバー上のアイテムが少ないツールなのでおすすめです。

ただし、これはあくまでも一時的なもので、選択しているツールを切り替えたときにツールコントロールバー上のアイテムが増えてしまうとその幅に合わせて再びウィンドウの幅は大きくなってしまいます。
ところで、矩形ツールではなくスポイトツールを選択した場合はツールコントロールバー上のアイテムがちょっとだけになるので、ウィンドウの幅もすごく小さくできるように思われますが、ウィンドウの幅はツールコントロールバーの幅以外にも、タイトルバーのすぐ下のプルダウンメニュー全体の幅も最低限の幅として扱われるので(そしてプルダウンメニューの数を減らす機能はなさそうなので)、そこまではウィンドウの幅は縮めることができません。