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Inscapeのテンプレート機能とインポート機能

 このページでは、Inkscapeのテンプレート機能インポート機能について紹介します。

(2024.01.18更新)

テンプレートとは

 Inkscapeには、ドキュメントをテンプレートとして保存しておく機能があり、新規ドキュメントの作成を開始するときに、ゼロから作成するのではなく、選んだテンプレート(のドキュメント)から作成することができます。

 ただ、このテンプレート機能、どういうわけかInkscapeの解説コンテンツ等にあまり説明がありません。またInkscapeにはドキュメントの編集中に他のドキュメント(SVG形式ファイル)をインポートして挿入するという機能もあり、テンプレートインポートの違いもよくわかりません。それぞれに利点がありそうな予感もするのですが。

テンプレートファイルの内容

 テンプレートと呼ばれるファイルもどうやら他のSVGファイルとデータ形式上にはほぼ違いがなさそうです。ただ単に決まったフォルダに置かれているSVG形式ファイルにすぎず、テンプレート名やテンプレートのキーワードやテンプレートの説明文を記述した要素(例えば<inkscape:name>)が含まれ、メニューでファイル > テンプレートから新規を操作すると、種類ごと(印刷用とかビデオ用とか)にテンプレートの一覧がダイアログ上に表示されます。


 利用するダイアログを選んで、右下のテンプレートから作成というボタンをクリックすると、今編集中のドキュメントとは別に、そのテンプレートを読み込んだ状態の新規ドキュメントのウィンドウが開きます。

 言い換えると、今編集中のドキュメントにあとからテンプレートを適用することはできないようです。

 なお、各テンプレートごとにその名前と短い説明が表示されるだけで、どんな性質のテンプレートなのかは分かりません。(Inkscapeバージョン1.3より前のバージョンではこのダイアログ上でテンプレートごとの詳しい情報を表示することができたのですが、バージョン1.3ではできなくなっていました。)

 SVGファイルをテンプレートとして用いると、テンプレートに描画されているオブジェクトや、テンプレートのドキュメントのプロパティに設定されているページのサイズ、グリッドの色など、ドキュメントのプロパティ以外にドキュメントに埋め込まれているグラデーション設定、パターン(図形内の塗りつぶしパターン)、マーカ、フィルタ、シンボルなども再利用できます。

インポートとの違い

 なお、ファイル > インポートというメニューからテンプレートと同じ内容のSVGファイルをインポートしても、同様にそれらを再利用することができます。

 わかっている違いとしては、テンプレートの場合、メニューにテンプレート一覧が表示されるので、サッと選んで使える状態になっているのに対し、インポートの場合はインポートするSVGファイルの管理は自分でやらないといけないので少し面倒です。

 一方で、インポートの場合はドキュメントを編集中に途中で読み込んで再利用することができます(当然複数のSVGファイルを1つのドキュメントにインポートすることもできます)が、テンプレートの場合は新規ドキュメントの作成を開始する時点で1つのテンプレートのみ読み込めるようです(テンプレートの途中挿入のメニューは無い)。

標準テンプレート

 Inkscapeには、標準的なテンプレートがあらかじめ組み込まれているので、それを使って新規ドキュメントを作成することもできますが、個々の標準テンプレートの特徴が詳しく説明されていないので、どこまで使いこなせるものかよくわかりません。このあたりも含めて、やはり最新バージョンに沿った解説コンテンツの充実が待たれるところです。(試してみて推測するのには限界も感じます)

独自テンプレートの追加

 任意のドキュメントをSVG形式のテンプレートファイルとして保存し、標準テンプレートと同じようにダイアログ上から選んで新規ドキュメントに流用することができます。

 テンプレートにしたいドキュメントを編集し、メニューからファイル > テンプレートを保存を操作すると、テンプレート専用のファイル保存ダイアログが表示されます。

 名前説明を入力して保存ボタンをクリックすると、テンプレートファイル保存専用のフォルダ(環境設定で指定してあるフォルダ)に保存され、それ以降はテンプレートダイアログ上に表示されるようになります。

 作者やキーワードは入力しても特に効果はないようです。(以前のバージョンではこのキーワードを検索する機能があったのですが、バージョン1.3で無くなったようです。)

 デフォルトテンプレートとして設定にチェックを入れてから保存すると、これ以降に新規ドキュメントを開いたときに、テンプレートを指定しなくても自動的にこの保存したテンプレートが読み込まれるようになります。

 なお、保存済みのテンプレートを更新する機能はないので、更新したい場合はテンプレートを保存するときのダイアログ上で名前として更新対象のテンプレートと同じ名前を指定してから保存ボタンを押します。同じ名前を指定すればテンプレートファイルに上書き保存してくれます。