このページでは、Inkscapeでパスを途中で切り離すためのいろんな方法について紹介します。
（参考：パスをつなぎ合わせる／切り離す）
(2025.03.19更新）
はじめに
Inkscapeにはパス同士をつなぎ合わせたりばらばらにしたりする方法がいろいろあって、どんな編集結果になるのかも少しづつ違っているのにメニューに表示される名前は似ていたりするので区別するだけでも大変です。そのあたりの詳しいことは「パスをつなぎ合わせる／切り離す」にまとめてあります。
ここではその中から、１本につながっているパスを好きなところで切り離す方法にまつわる細かいポイントをまとめてみたいと思います。
パスを好きなところで切り離す方法には、大きく分けて、ノードのところで切り離す方法（方法その１）と、切断したい位置で交差する別のパスを使って切り離す方法（方法その２）の２通りがあります。
方法１：ノードのところで切断
方法その１は、ノードツールで切断したい場所のノードを選択して、ツールコントロールバーの選択ノードでパスを切断ボタンを押す方法です。
切断したい場所にノードがない場合は、そのノードがない場所をダブルクリックすれば新しいノードが出現するので、それから切断ボタンを押して切断できます。
方法２：パスＡをパスＢで切断
方法その２は、切断したい場所を横切っているパスを切断対象のパスと一緒に選択しておいて、パス ＞ 分割メニュー（方法２の１）、または、パス ＞ パスをカットメニュー（方法２の２）を操作する方法です。
選択している複数のパスのうち一番下のパスが切断対象のパスになり、その１つ上に重なっているパスが切断用のパス（いわばカッター役）になります。切断後は切断用パスは消えます。
切断したいところを横切るパスを切断用に後から描いてもいいですが、すでに描かれている一方のパスから他方のパスの端っこが出張っているときに出張っている部分を切り落とすためにも使える方法です。
なお、これらのメニューは「パス」というトップレベルのメニューの下位のメニューになっていますが、シェイプやテキストを切断対象に選択した場合もそれを自動的にパスオブジェクトに変換してから切断してくれます。
３つ以上のパスを選択してから実行した場合は、一番下のパスを下から２番目のパスで切断します。それより上に重なっているパスは切断用に用いられませんが、切断後は消えます。
切断位置はストロークのスタイルを無視する（幅のあるストロークではなく、アウトラインのところで切断する）ので、すごく太いパスをすごく太いパスで切断したとしても、交点のところで切断されるだけで、ストロークの端のところで斜めに切れたりはしません。
方法２の１：「分割」でパスを切断
パス ＞ 分割メニューで切断した場合は、切断対象のパスを面として切断します。切断した境界のところに境界線を自動的に追加して２つの閉じたパスになります。切断対象が閉じていない場合も、切断後は自動的に閉じたパスに変換されます。
なお、Inkscapeは（少なくとも日本語版では）パスを切断するときもパスを複数のサブパスに分けるときも「分割」という言葉を使っているので、混乱しないようにしないといけません。詳しくは「パスをつなぎ合わせる／切り離す」を。
方法２の２：「パスをカット」で切断
パス ＞ パスをカットメニューで切断した場合は、切断対象のパスを線として切断します。切断後はストローク部分だけが残るので、切断対象のフィルは塗りつぶされない状態になります。
例：はみ出したパスを消す
あるパスの一部が、交わっている別のパスからはみ出していて、そのはみ出した部分を削除したい場合にも「パスをカット」で切断する方法が使えます。
例えば次のように長さを揃えずに雑に描いた青いパスがあるとして、外側に向かって出張っているところを削除したいとします。
（ステップ１）青いパスをまとめて選択して、パス ＞ 結合メニューを操作します。パスのカット機能は、切断対象は１つのパスオブジェクトに限られるので、あらかじめ１つのパスオブジェクトに結合しておくわけです。
（ステップ２）切断の境界にするパス（黄色いパス）を選択してＣｔｒｌ＋Ｄを押します。こうすると、黄色いパスにぴったり重なるように複製オブジェクトが生成されて、次のように一番上に貼り付けられます。
この一番上にコピーしたパスを使って青いパスを切断します。なぜコピーするかというと、切断用のパスを切断対象のパスの上に重ねることができるという理由と、切断用パスは切断実行後に削除されてしまうので元の黄色いパスは消したくないという理由からです。
（ステップ３）コピー後の黄色いパスと切断対象の青いパスを同時に選択してパス ＞ パスをカットメニューを操作します。すると青いパスよりも上に描かれている黄色いパスは消えるので、次のようになります。
この見た目ではわかりませんが、青いパスは黄色いパスのアウトラインのところですでに切断されていて、バラバラのパスオブジェクトになっています。外側の削除したい部分だけをドラッグして移動すると、次のように切断されていることがわかります。
（ステップ４）あとは、この外側の切れ端のパスオブジェクトを削除します。