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Inkscapeのパスの「分割」「パスを分割」「分解」の違い

 このページでは、Inkscapeで可能な、パスを「分割」する操作、「パスを分割」する操作、パスを「分解」する操作にどのような違いがあるのかをまとめてみたいと思います。

 (参考:パスをつなぎ合わせる/切り離す

(2022.11.12更新)

パスを切り離す操作はいろいろ

 Inkscapeにはパスをバラバラに切り離す操作として「削除」「切断」「差分」「交差」「排他」「分割」「パスを分割」「分解」があります。

 特に「分割」「パスを分割」「分解」の3つは、日本語としても違いがまったくわかりません。

 そこで、この3つがどのように異なっているのかをまとめてみたいと思います。(それ以外の「削除」「切断」「差分」「交差」「排他」については、「パスをつなぎ合わせる/切り離す」にまとめてあります。)

「分割」と「パスを分割」の違い

 まず、結合されて1個のパスオブジェクトになっているサブパスをバラバラのパスオブジェクトにする操作には、分解分割の2種類があります。

 そして、分割には、ただの(?)「分割」と、「パスを分割」の2種類があります。

 ただの「分割」と「パスを分割」の区別は簡単です。ただの「分割」は、パスその1を境界線として使って、パスその2をバッサリ切り離す機能です。一方、「パスを分割」は、パスの中のサブパスをバラバラのパスオブジェクトに変換します。

「分解」と「パスを分割」の違い

 問題は「分解」と「パスを分割」の違いです。

 「分解」は、パスオブジェクトを選択して、メニューからパス > 分解を操作します。すると、すべてのサブパスがバラバラの(独立した)パスオブジェクトになります。

 一方、「パスを分割」は、パスオブジェクトを選択して、メニューからパス > パスを分割を操作します。すると、重なっているサブパスはバラバラにならず、重なっていないサブパスのあいだでのみ切り分けられてバラバラのパスオブジェクトになります。すべてのサブパスはバラバラになりません。

 例えば、次のように、重なった4個のパスオブジェクトを描いて、それらを結合します。

 すると、全体が1つのパスオブジェクトになり、サブパスとサブパスに挟まれたところがフィルになるので、次のように「穴」の開いたようなパスオブジェクトになります。

 ここで「分解」操作を行えば、元のバラバラの4個のパスオブジェクトに戻るだけですが、「パスを分割」操作を行うと、次のように外側と内側のサブパスの「穴」の関係は維持したまま、左右の絵がバラバラの2個(4個ではない)のパスオブジェクトになります。