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Inkscapeのレイヤとグループとクローン

 このページでは、レイヤオブジェクトグループという、Inkscapeのよく似た機能について、その共通点と違いを整理してみようと思います。

 特に、レイヤオブジェクトグループも、そのクローンを作ることができるという特徴があるので、その詳細についてまとめます。

 (参考:キャンバスをレイヤに分ける

 (参考:クローンを作る

(2024.12.27更新)

レイヤとオブジェクトグループはよく似ている

 レイヤとオブジェクトグループは、どちらも、複数のオブジェクトをひとつの集団にまとめたものという点では同じです。

 レイヤもオブジェクトグループも、それを単位としてコピーしたり削除したりすることができます。

 レイヤとオブジェクトダイアログ上でも、レイヤとオブジェクトグループは同じように階層構造で表示されます。

 ダイアログ上でレイヤを選択すると、ステータスバーにそのレイヤの名前が表示され、そのレイヤの編集モードになります。

 同じように、ダイアログ上でグループを選択している状態から、右クリックで表示されるメニューで「グループ〇〇に入る」を操作すると、ステータスバーにそのグループの名前が表示され、そのグループの編集モードになります。

 オブジェクトグループをレイヤ内に作ることができるのは当然ですが、レイヤをオブジェクトグループの中に作ることもできます。

 どのオブジェクトグループにも属さないオブジェクトをキャンバスに追加することができるのは当然ですが、どのレイヤにも属さないオブジェクトを追加することもできます。(この場合は、ステータスバー上に[root]と表示される階層に追加されます。)

 オブジェクトグループ内に下位のオブジェクトグループを作成することができるのは当然ですが、レイヤの下位のレイヤ(サブレイヤ)を作成することもできます。

 ここまでくると、レイヤとオブジェクトグループとは、その操作手順が少し違うぐらいで、ほぼ同じ性質のもののような気がしてきます。

レイヤとオブジェクトグループは何が違うのか?

 (↓ここで「出来ない」と書いたことをバージョン1.4で試してみたら、実行できました。バージョン1.2のころに書いたものだと思いますが、勘違いだったのか、いつのまにか修正されていたのかわかりませんが、少なくともバージョン1.4の時点ではここに書いたような違いはレイヤとオブジェクトグループにはないようです。)

 すぐに分かる違いは、複数のものを同時に選択できるかどうか?という点です。

 オブジェクトグループの場合、複数のオブジェクトグループを同時に選択することができます。例えば、シフトキーを押しながら選択したり、「すべて選択」の操作を行えば、同時に選択することができます。

 一方、レイヤの中のサブレイヤやオブジェクトグループの中のレイヤの場合、複数のレイヤを同時に選択することができません。

 その結果として、2つのレイヤにそれぞれ含まれている複数のオブジェクトやオブジェクトグループを同時に選択することはできません。言い換えれば、複数のレイヤをまたいで複数同時に選択することはできないということでしょうか。(もしそれができてしまうと、複数のレイヤを同時に選択できてしまうことになるから、と考えれば、わかったような気がします)

レイヤやオブジェクトグループのクローンを作る

 さらに、レイヤもオブジェクトグループもクローンを生成することができます。

 レイヤやオブジェクトグループのクローンは、通常の属性変更に加えて、オブジェクトの追加や削除についても継承されます。だから、レイヤやグループのクローンをたくさん作っておいて、クローン元のレイヤやグループにオブジェクトを追加すると、すべてのクローンに一斉に同じオブジェクトが出現するという効果があります。

まとめ

 以上のようないろんなパターンのレイヤとグループとクローンを作った場合のレイヤとオブジェクトダイアログの表示は次のようになります。