お絵描きソフトInkscape(インクスケープ)の使い方を初級レベルから上級レベルまで広く紹介しています。
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Inkscapeのキャンバスの表示形態の切替

 このページでは、Inkscapeでオブジェクトをキャンバスに表示するときの「モード」について紹介します。 


(参考:アウトラインとストロークとパス

(2023.08.27更新)

表示モードと分割モード

 Inkscapeでは、キャンバス上にどのようにオブジェクトを表示するか、例えばアウトライン(図形の骨組みにあたる線)だけ表示したり、全フィルタを無効にして表示したりする「モード」をプルダウンメニューから切り替えることができます。

 Inkscapeのトップレベルのメニューには「表示」というメニューがありますが、その下位メニューとして、キャンバスの表示形態を指定するための表示モード分割モードの2つのメニューがあります。

 表示モードメニューの下位メニューには、さらに表示モードとして指定可能なモードの候補が表示されます。

 分割モードメニューも似たような階層になっています。

 表示モードメニューと分割モードメニューの各モードはそれぞれから1つずつ、2つを組み合わせて選択することができます。

 これらの2つのモードをそれぞれ選択すると、表示モードの指定と分割モードの指定との組み合わせに応じて、キャンバス全体の表示形態が切り替わります。

 なお、分割モードメニューからは、分割モードX線モードが選択できます。

表示モード

 表示モードメニューからは、表示モードとして、標準モードアウトラインモードアウトラインオーバーレイモード細い線を強調モードフィルターなしモード、が選択できます。

 なお、今現在、標準モード以外のどの表示モードで表示しているかは、Inkscapeのウィンドウのタイトルバーのファイル名の横に表示されています(Windowsの場合)。

アウトラインモード

 表示モードとしてアウトラインモードを選択すると、キャンバス上の全てのオブジェクトがアウトライン(ストロークの骨に当たる線)のみで表示されます。画像オブジェクトも「四角にバッテン」という特殊なアウトラインで表示されます。

 なお、少しややこしいのですが、表示モードでいうところのアウトラインは、ノードツールを使ってパスオブジェクトを編集する際に表示されるアウトラインとは異なるので注意が必要です。表示モードでいうところのアウトラインは、ストロークの位置にストロークのパラメータを無視して描く細い線のことで、ストロークの「骨」に相当する線と思えばよさそうです。(一方でパスオブジェクト編集時に表示されるアウトラインは、パスエフェクトによって変形される元となるオリジナルの線のことです。)

 例として、次のようにストロークの太さやフィルの塗りつぶしが異なる楕円(フィルタでぼかしも適用してあります)で試してみます。一番左側の楕円はフィルもストロークも設定していないために(選択中のハンドルは表示されていますが)見えないオブジェクトになっています。

 この絵を、アウトラインモードで表示すると、次のようになります。透明な楕円も含めて全てアウトラインで表示されます。

 少し変わった使い方ですが、例えばうっかり透明にしてしまったオブジェクトを探すときにアウトラインモードが使えるそうです。ただし、アウトラインモードにしてしまうと、元々透明であったのか区別がつかなくなってしまうので、透明であるがゆえに行方不明になってしまった図形がどれなのかを特定するのはそんなに簡単ではないです。表示モードを標準モードアウトラインモードとでパタパタと入れ替えてみれば見つけやすいかもしれません。

 また、非表示に設定したオブジェクトはアウトラインモードでもやはり表示されません。

アウトラインオーバーレイモード

 表示モードとしアウトラインオーバーレイモードを選ぶと、通常の表示を少しだけ透明にした上で、アウトラインが透けて見えるように重ねて表示されます。

フィルターなしモード

 表示モードとしてフィルターなしモードを選ぶと、オブジェクトにフィルタを設定している場合でも、そのフィルタを使わずに表示します。上の例では、ぼかしフィルタだけ無効になるので、次のようになります。

細い線を強調モード

 表示モードとして細い線を強調モードを選ぶと、すごく細いストロークであるためにズームで全体を縮めて表示したときに見えなくなってしまうようなオブジェクトに対して、ストロークの「幅」スタイルを一旦無視して、見えなくならないギリギリの太さで表示してくれます。

 ストロークの太さを「mm」のような小さな固定値で設定したいときに使うそうです。上の例では、左から2番目の楕円のストロークをすごく細くしてある(0.05mm)ので、ズームアウト(縮小表示)すると次のように左から2番目の楕円も見えなくなってしまいます。

 このような場合、細い線を強調モードでは、見えなくなってしまったオブジェクトについて一時的に1pxの太さで表示してくれます。

分割モード

 分割モードは、キャンバスの一部分だけをアウトライン表示にするモードです。

 分割モードを分割にすると、次のように水平な分割線と、この分割線を移動する大きな丸いハンドルが表示されます。

 この例では分割線より下側がアウトライン表示になっています。

 なお、表示モードをアウトライン表示モードにしておいて分割モードを分割に設定しても、結局全体がアウトライン表示になるだけなので、意味がありません。

 ハンドルの上には、縦横に三角形のマークが表示されていて、どれかをダブルクリックすると、その方向に分割線の向きを変更することができます。

 分割モードをX線にすると、マウスポインタの周囲だけがアウトライン表示になります。どのぐらいの大きさの範囲にするかは、環境設定ダイアログで円の半径を使って指定することができます。

プレビューモード(クイックプレビュー)

 メニューから切り替えるモード(表示モードや分割モード)の他に、プレビューモードがあります。

 「F」キーを押している間、プレビューモードに切り替わり、キャンバスの上でオブジェクト以外(ガイドやハンドルなど)が全部非表示になります。「F」キーを離すと元に戻ります。

一時拡大モード

 さらに、「Q」キーを押している間は一時拡大モードになり、選択されているオブジェクトが画面一杯に広がるようにズームアップしてくれます。「Q」キーを離すと元に戻ります。