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Inkscapeのパスエフェクト:パワーマスク

 このページでは、Inkscapeのパスエフェクトの1つである、パワーマスクエフェクトを紹介します。

 Inkscapeの基本機能にある通常のマスクでは、マスク対象オブジェクトの上に重ねたマスキング用オブジェクトの明るい領域に重なっている部分で、マスク対象オブジェクトの不透明度が高くなりますが、パワーマスクエフェクトでは、その反対に暗い領域に重なっている部分で不透明度を高くしたり、マスキング用オブジェクトに重なっていない部分の不透明度を設定したりすることができるようになります。

 (参考:クリッピングとマスキング

 (参考:パスエフェクト/エクステンションとは

(2023.03.21更新)

 通常のマスクを設定したオブジェクトを選択した状態で、エフェクトダイアログから「+」ボタンを押してパワーマスクエフェクトを適用します。

 ・・・というのは昔のバージョンでの話で、どのバージョンからそうなったのかリリースノートに該当する記載を見つけられないので分からないのですが、バージョン1.3ではエフェクトダイアログ上のパワーマスクエフェクトのアイコンはグレーアウトされてしまっていて選択できません。バージョン1.3ではパワーマスクエフェクトを適用するには、メニューでオブジェクト > マスク > マスクを反転して設定を操作します。

 例えば次のように、白い部分と黒い部分があるオブジェクトをマスキング用オブジェクトとして、テキストオブジェクトをマスク対象として、マスクをかけてみます。

 テキストの上にマスキング用オブジェクトを重ねて(1番目の例)、オブジェクト > マスク > マスクを設定メニューを操作すると、Inkscapeの通常のマスク機能が働いて、黒い領域に重なったテキストの一部は不透明度が低く(すなわち透明に)なり、白い領域に重なったテキストの一部は不透明度が高く(すなわち文字の色が透けずにそのまま表示される状態に)なります(2番目の例)。

 この通常のマスクを適用したオブジェクト(テキスト)を選択して、エフェクトダイアログからパワーマスクエフェクトをさらに適用すると、3番目の例のようになります。このとき、パワーマスクのパラメータの画面は次のようになっていますが、何もパラメータを指定していないので、マスクの効果は通常のマスクと同じで、パワーマスクの適用前後では見た目に変化はありません。

 これらのパラメータにチェックを入れると、次のようになります。

 マスクを反転にチェックを入れると、明るい領域と暗い領域に重なっている部分の不透明度が反転します。白い領域に重なっているところの不透明度が反転して透明になるので、真ん中のところが見えなくなっています。

 マスクを非表示にチェックを入れると、パワーマスクを適用していないかのように表示されます。

 マスクに背景を追加にチェックを入れると、マスキング用オブジェクトの外側の背景部分が背景のカラーと不透明度のところで指定した色で塗られているかのようにマスク処理を施してくれます。

 上の例では、背景色として白を指定してマスクに背景を追加にチェックを入れると、マスキング用オブジェクトの外側も不透明になっていることがわかります。また、グレーを指定すると少しだけ不透明(すなわち半透明)になるので、マスキング用オブジェクトの外側の部分でマスク対象(テキスト)が半透明になることがわかります。