このページでは、Inkscapeの組み込みフィルタの1つである、油絵具で描いたような絵に変換してくれるフィルタを紹介します。

(2023.06.15更新)
このフィルタを適用するには、プルダウンメニューでイメージペイントとドロー > 油彩画を操作します。
このフィルタには設定時にパラメータを指定するダイアログがありません。
メニューで設定した直後は、次のようにおおざっぱに塗りつぶした絵になりますが、油絵という感じはあまり出てないかなと思います。

フィルタエディタで、構成するフィルタプリミティブ要素を見てみると、次のようにモフォロジー、乱流、変位マップの3つから構成されていることがわかります。

モフォロジーは演算子として腐食を設定してあるので、暗い色(濃い色)のところがじわっと外側に広がったような(しみ出したような)画像に変換されます。デフォルトではその広がり方が大きすぎる(おおざっぱすぎる)ようなので、半径というパラメータを小さくしてみます。デフォルトでは半径の値は2.0なので、これを0.5に変更します。

デフォルトよりも少し細かい「塗り」になります。
次に、油絵具っぽく、塗りの境界線のところをかすれたようにしてみます。そのために、乱流の基本振動数とオクターブというパラメータを大きくします。乱流の出力は次の変位マップに入力されて、元の画像の各ピクセルが乱流の出力した各ピクセル値の分だけ平行移動するので、乱流の基本周波数とオクターブを大きくすることで、より乱雑な値を出力させて各ピクセルを細かく移動させることで、かすれた感じを強くします。デフォルトでは基本周波数が0.08でオクターブが1なので、それぞれ4に増やします。

これでは塗りの境界のかすれる範囲が広すぎるので、それを狭めるために、変位マップの尺度というパラメータを小さくすることで各ピクセルの移動量(変位量)が小さくなり、かすれの範囲が小さくなります。尺度のデフォルトは6.3なので、これを0.8にします。

なお、各パラメータをどのぐらいの値に変更するかは、フィルタエディタ上で変換結果を観察しながら少しづつ調整しています。この辺りはお好みで。
(参考:フィルタとは何か)