このページでは、Inkscapeでオブジェクトの大きさを拡大したり縮小したりする機能についてまとめていきます。

- Contents
- 拡大/縮小の基本操作
- キーを押しながらドラッグ
- ストロークを拡縮に合わせる
- 拡縮とオフセットの違い
(2023.08.08更新)
拡大/縮小の基本操作
まず基本となる操作についてです。
拡大縮小(略して拡縮)したいオブジェクトを選択するとその上下左右に拡縮用のハンドル(矢印)が表示されるので、そのハンドルをマウスでドラッグして大きさを調整します。

またキャンバスの上にあるツールコントロールバーにオブジェクトのサイズ(幅と高さ)を指定する欄があるので、そこに直接幅と高さの値を入力しても拡縮できます。

キーを押しながらドラッグすると・・・
ハンドルをドラッグして拡縮する際に、それと同時に特殊なキーを押しながら操作すると、次のように規則的な拡縮を行うことができます。
Ctrl(コントロール)キーを押しながらドラッグすると、幅と高さの比率を一定に保ったまま拡縮されます。左の例はCtrlキーを押さずにドラッグした場合で、右がCtrlキーを押しながらドラッグした場合です。

シフトキーを押しながらドラッグすると、中心の位置を固定したまま拡縮されます。左の例はシフトキーを押さずにドラッグした場合で、右がシフトキーを押しながらドラッグした場合です。

右の例では、大きさを変える前と後で中心が動いていません。
なお、Inkscapeの多くの解説コンテンツでは「中心」の意味を「(オブジェクトの)中心」と説明していることが多いようですが、誤解されやすいと思います。「中心」はオブジェクトの上下左右の真ん中という意味ではなく、オブジェクトを回転させるときの中心(つまり回転中心)という意味です。オブジェクトの回転中心はマウスでドラッグすると移動することができるので、次のように回転中心を移動しておいてからシフトキー+ドラッグでオブジェクトを拡縮すると移動後の回転中心に向かって拡縮されます。

さらにCtrlキーとシフトキーを両方押しながらドラッグすると、その両方の規則に従った拡縮になるので、中心が動かず、かつ、幅と高さの比率を保つように拡縮されます。左はシフトキーのみを押しながらドラッグした場合です。

ストロークのスタイルを拡縮に合わせる
ツールコントロールバーの右のほうに次のようなボタンがあります。

これは拡縮する際にそれにともなうストロークのスタイルの自動的な変更を行うのか否かを指定するボタンです。
左のボタンを押した状態で拡縮を行うと、ストロークの幅も同じ比率で変化します。例えばオブジェクトを小さくするとストロークもそれに合わせて細くなります。次の例では、緑色のオブジェクトは左のボタンを押さずに小さくしたときのもので、青いオブジェクトは左のボタンを押してから小さくしたときのものです。

右のボタンを押した状態で角の丸い矩形の拡縮を行うと、角の丸み(角の弧の半径)も同じ比率で変化します。例えばオブジェクトを小さくすると角の丸みも小さくなります。次の例では、緑色のオブジェクトは右のボタンを押さずに小さくしたときのもの(角のカーブは変わっていない)で、青いオブジェクトは右のボタンを押してから小さくしたときのもの(角のカーブがきつく変化している)です。

拡縮とオフセットの違い
Inkscapeにはオブジェクトを大きくしたり小さくしたりする方法として「オフセット」という機能もあります。これはオブジェクトのアウトラインをどの方向にも均等な距離で外側に大きくしたり内側に小さくしたりする機能です。(参考:インセット/アウトセットを描く)
小さくしたり大きくしたりするという点ではいわゆる拡大縮小と似ていますが、大きさを変えた後の形には違いがあります。
次の例では緑色のオブジェクトは通常の縮小操作を行ったもので、オブジェクトの縦と横の比率にもよりますが縦と横の縮み具合には差があります。一方、青いオブジェクトはオフセットの一種であるインセット機能を使って縮小操作を行ったもので、縮む前と後のストロークの間の距離はほぼ一定になっています。

年輪のような絵を描きたいときはオフセットを使ったほうが良いかもしれません。
(参考:年輪状の図形の入力)