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Inkscapeでシームレスなパターンを作ってみた(その2)

 「シームレスなパターンを作ってみた」のページでは、Inkscapeを使って垂直方向と水平方向に連続して繰り返されるように見える模様(パターン)を作る方法を試してみましたが、このページではそれとは少し違う方法として、垂直水平以外の方向に繰り返されるパターンの作り方を試してみたいと思います。

(2023.12.19更新)

縦横以外の方向の繰り返しとは?

 「シームレスなパターンを作ってみた」のページでは、次のように長方形で区切られた模様を並べることで、垂直方向と水平方向に繰り返されるようなパターンを作ってオブジェクトの塗りつぶしに使ってみました。

 一方、次のように垂直方向と水平方向ではない方向に繰り返されるようなパターンもあります。これをオブジェクトの塗りつぶしに使えるInkscapeのパターンとして作ってみようというわけです。

手順1:繰り返された状態を描く

 「シームレスなパターンを作ってみた」の場合は繰り返しの単位となる模様として長方形のものを作ってみましたが、Inkscapeの塗りつぶしパターンとして登録できる領域(長方形でなければならない)と繰り返しの単位となる模様とが同じ形になるので、その長方形の内側に自由に模様を描いてパターンとして登録すればよいだけでした。

 しかし、上のように縦横方向ではない繰り返しの場合は、繰り返されている模様のうち、どの部分を長方形に切り取ってパターンとして登録すればよいのか分かりにくいです。

 そこで、手で実際に繰り返された模様を描いておいて、それを眺めながらパターンとして登録できる長方形の位置を決めるという手順で作業するのが良さそうです。

 そのためにはスナップダイアログで次のような場所にスナップするよう設定をしておきます。そうすると縦横方向でない方向に繰り返す模様が描きやすいです。


 この状態で矩形オブジェクトや多角形オブジェクトの頂点がぴったり重なるようにコピーと移動を繰り返せば、次のように隙間なく並んだ繰り返し模様を描くことが簡単にできます。


手順2:切り出す位置に矩形を描く

 次に、描いた繰り返し模様を眺めながら、パターンの単位にできる長方形の区切りがどこに当たるのかを探して、そこに矩形オブジェクトを描きます。次の例では赤いストロークの矩形オブジェクトを「ここを切り出せばパターン一単位になりそうだ」という位置に描きました。

手順3:クリッピングしてパターンを切り出す

 この矩形オブジェクトを使ってパターン一単位分の領域を切り出します。

 描いた繰り返し模様と、パターン一単位の領域を囲った矩形(一番上に重ねたもの)とを全部選択した状態で、メニューでオブジェクト > クリップ > クリップを設定を操作します。そうすると境界線の矩形の外側は見えなくなります(つまりクリッピングされる)

  (参考:クリッピングとマスキング

手順4:パターンに登録する

 このクリッピングした状態で、メニューでオブジェクト > パターン > オブジェクトをパターンにを操作します。

 すると、次のようにクリッピングされた状態のままパターンに登録されます。


 あとは好きなオブジェクトのフィルやストロークの塗りつぶしに使うことができます。


 ここで作ってみたパターンはわかりやすいサンプルにするため単純な四角形/三角形/六角形だけを繰り返すパターンになっていますが、実際はそれらの単純な多角形の内側に好きな模様を描くことでいろんなバリエーションを作ることは簡単にできます。