このページでは、Inkscapeのエクステンションの1つで、一般にストロークフォントと呼ばれる細いペンで手書きしたようなフォントを使った文字を描いてくれるエクステンション「Hersheyテキスト」を紹介します。

- Contents
- ストロークフォントとは?
- Hersheyテキストとは?
- Hersheyテキストを使ってみる
- どんな見た目の文字になるか確認する
- 使用可能なストロークフォントを確認する
- 太目の文字は描けない?
(2023.11.27更新)
ストロークフォントとは?
Inkscapeで使える組み込みフォントの(おそらく)すべてはアウトラインフォントと呼ばれるタイプのフォントで、文字の「ふち」をたどるようなパスで構成されています。

一方、細いペンで書いた文字の線それ自体をパスとして描くフォントがあって「ストロークフォント」と呼ばれるそうです。

ストロークフォントはレーザー加工で文字を彫り込むときに使ったり手書き風の文字を描きたいときに使うことが多いようです。
ストロークフォントの中で有名なのが「Hershey(ハーシー)フォント」と呼ばれるもので、1960年代にハーシー博士によって作られたそうです。ストロークフォントはアウトラインフォントの文字の中心線をたどったものという説明も見かけましたが2種類のフォントは全く別物でストロークフォントの線が中心線にあたるということはおそらくないと思います。
Hersheyテキストとは?
「Hersheyテキスト」はInkscapeに組み込まれているエクステンションの1つで、Hersheyテキスト自身が備えるストロークフォントを使ってキャンバス上のテキストオブジェクトの文字をストロークフォントで描いた文字(パスオブジェクト)に変換してくれます。
テキストオブジェクトのフォントを切り替えるのではなく、ストロークフォントを使って描かれるであろうテキストと同じ形のパスオブジェクトに変換するものなので、このエクステンションを適用した結果はテキストオブジェクトではなくパスオブジェクトになり、文字列としての編集はできなくなります。
なお「Hersheyテキスト」というエクステンション名はストロークフォントとして有名なHersheyフォントからいただいた名前という意味しかないようで、Hersheyフォント以外のストロークフォントのテキストに変換することもできます。
Hersheyテキストを使ってみる
Hersheyテキストを適用するテキストオブジェクトをキャンバス上で選択しておいて、エクステンション > テキスト > Hersheyテキストメニューを選ぶと、Hersheyテキストのダイアログが表示されます。

このダイアログのレンダリングタブで、フォントフェースというプルダウンメニューからフォントを選び、適用ボタンを押すと、適用対象のテキストオブジェクトが消えて替わりに指定したフォントフェースで描かれたパスオブジェクトが生成されます。

文字の大きさやスタイル(色など)は無視されることがあるとのことです。
「元のテキストを維持」というチェックボックスにチェックを入れてから適用ボタンを押すと、適用対象のテキストオブジェクトが消えずに残ります。
どんな見た目の文字になるか確認する
フォントフェースのプルダウンメニューにはフォント名しか表示されないので、そこで指定したフォントの文字の見た目はどんな感じなのか分かりません。
確認したい場合は、プルダウンメニューでフォントを選んでおいて、ダイアログのユーティリティタブを開き、操作というプルダウンメニューで選択フォントにグリフテーブルを生成を選んで適用ボタンを押すと、そのフォントで描かれるすべての文字を描いたパスオブジェクトが生成されてキャンバスに自動的に追加されるので、それを見て確認することができます。

使用可能なストロークフォントを確認する
Hersheyテキストエクステンションで使用可能なストロークフォントにどのような見た目のものがあるのかをまとめて確認したい場合は、ユーティリティタブを開き、操作メニューでフォントテーブルを生成を選んで適用ボタンを押すと、ダイアログのテキストと書かれた欄にあらかじめ入力した文字列を使用可能な全フォントのそれぞれを使って描いたパスオブジェクトを生成してくれます。

太目の文字は描けない?
Hersheyテキストが用いるストロークフォントは細い一本の線だけで文字を描くのが基本ですが、太い文字(ボールド体など)が描けるストロークフォントもあります。
細い線だけで描くフォントを「シングルストロークフォント」と呼び、何本かの線を重ねて(ごちょごちょっと)描くことで太い文字にするフォントを「マルチストロークフォント」と呼ぶそうです。
