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Inkscapeでパスの複数個所をまとめて切断する

 このページではInkscapeを使ってパス上の複数個所をまとめて切断する方法について紹介したいと思います。

 パス(やシェイプ)のあちこちをまとめて切断すると、切り離した断片を削除することでいろんな形の図形を簡単に描くことができます。

 パスの切断の基本的な方法については「パスをつなぎ合わせる/切り離す」のほうにまとめてありますが、特定の位置でパスを切断する方法には大きく分けて2種類があります。

 1つはパスの上のノードを選んでそのノードの位置で切断する方法です。複数のノードを同時に選択して切断すればまとめて切断することもできますが、都合のいい場所にノードが無い場合は少し手間がかかる方法です。

 もう1つは切断対象のパスの上に切断位置を指定する別のパスを描いてメニューでパス > パスをカットを操作することでその交点のところで切断する方法です。これなら切断したい位置に合わせて上からパスを描くだけなので簡単ですが、これはこれでいろいろ注意しなければならない点があるので、以下ではこの2つ目の方法について詳しく見ていきたいと思います。

複数のパスを同時に切断する

 まず複数のパスのそれぞれの切断位置で同時に切断する方法です。

 例として複数のパスが描かれている状態で、それらを水平に揃った位置で切断してみます。

 単純に考えると次のように切断対象のパスの上から切断用のパス(矩形)を描いて全部選択しておいてからパスをカットを実行すれば、切断対象のパスがそれぞれ矩形と交差するところで切断されそうに思われます。

 しかしこれはうまくいきません。「パスをつなぎ合わせる/切り離す」のほうでも書いていますがパスをカットは複数のパスを同時に選択している状態では機能しません(何も起こらない)。

 そこであらかじめ切断対象の複数のパスをパス > 結合を使って1個のパスにまとめておいてから矩形で切断すればいいかと考えても、これもうまくいきません。

 たしかに矩形のところで水平に切断することはできるのですが、結合をした時点で元のパスのスタイルが1つに統一されてしまうので、これでは元の複数のパスを切断したとはいえません。

 ということでうまい方法を思いつきません。結局、次のように切断用の矩形を「Ctrl-D」を押してピッタリ重なる状態で複製しておいて、そのうちの1つの矩形と切断対象のパスの中の1本を一緒に選択してパスをカットを実行することを繰り返すことで、水平に揃った位置で切断しました。

 なお、Inkscapeには標準装備されているエクステンションではないですが、1本のパスを使って複数のパスをまとめてカットしてくれるエクステンションがあるので、そちらの利用を考えてもいいかもしれません。

複数のパスを交点で切断する

 2本のパスの交点のところでその両方のパスを切断してみます。

 そのためにはスナップ機能を使って交点のところでピッタリ交わるパスを切断用のパスとして追加してからパスをカットを実行します。スナップダイアログ上で次のようにチェックを入れると、切断用のパスをピッタリ交点の上に描くことが簡単になります。

 こうしておいて次のように交点の上に切断用のパス(長さやスタイルは適当)を描いてパスをカットを実行します。(もちろん複製を使って切断用パスを2本にしてからそれぞれ切断します。)

閉じたパスを複数個所で切断する

 1個の閉じたパスを複数個所で切断するときはちょっと変わった注意点があります。

 まず次のように閉じたパスを1箇所だけパスをカットで切断してみます。

 これを見るとわかりますが、切断用パスと交わったところにパスの端になるノードが現れて、そこで閉じたパスが切断されています。

 次に1箇所を切断した後で別の箇所に切断用パスを描いてそれを使って切断してみます。すると不思議なことに、2個所が切断されている形にならずに、二回目に切断しようとしたところはちゃんと切断されますが、一回目に切断したところは切断時にパスの端として現れた2つのノードが自動的に合体してしまい、一度は切断されていたのに再びつながってしまいます。

 理由はわからないけれどこのように動きます。

 これではいっこうに2個所で切断することができませんが、2本の切断用パスで順番に切断するのではなく、2本の切断用パスを同時に描いて、さらにそれを結合して一本のパスにしておいてから切断用パスとして使ってパスをカットを実行すれば2個所で切断することができます。

 ・・・というようにパスの複数の位置をまとめて切断するにはいろいろとコツがありますが、それに注意しながら編集すると、いろんな形でパスを組み合わせた絵図を作ることができます。