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Inkscapeで2つのオブジェクトの一部分をピッタリと重ねる

 このページでは、Inkscapeを使って2つのオブジェクトの一部分をピッタリと重ねる方法について考えてみたいと思います。

 オブジェクトのアウトライン(全部またはその一部)がそもそも同じ形なのであれば、スナップ機能を使ってオブジェクトの全部または一部をピッタリ重ねることは簡単です。

 そうではなくて、上の例のようにアウトラインの形は異なっているけれど端のところをぴったり重なるようにしたいという場合があります。この場合はスナップ機能では揃えることができないので、違う方法を考えないといけません。

 オブジェクトの色を半透明にすれば(すなわち不透明度を下げれば)重なっているところと重なっていないところが区別できるようになるので、ぴったり重なるように移動することは少し簡単になりますが、グラデーションや写真のような微妙に変化する配色の場合などはそこまで区別がはっきりしないです。

 そこで、同じ色同士を重ねると「真っ黒」になる「差分」というブレンドモードを使うことを考えてみました。「2つの画像を比較する」のほうでも使った方法ですが、これなら「真っ黒」なところは重なっているところと分かるので、ぴったり重ねるように移動することも難しくありません。

 次のように、上に重なるオブジェクトのほうのブレンドモードを「差分」に設定します。

 そして2つのオブジェクトを重ねていくと重なったところが真っ黒になります。

 この例は同じ色同士を重ねているので真っ黒になりますが、少しだけ違う色を重ねた場合も重なったところの色が全然違う色になって半透明にする方法と比較しても見た目に区別しやすくなります。

 ただし、元々黒っぽいもの同士を重ねるときは「差分」でも黒っぽいままになってしまうので、そういうときだけは半透明にする方法を使うしかないかもしれません。

 写真や手書きの絵のように色の境界線がくっきりしていないもの同士を重ねるときにも役に立つ方法だと思います。

 例えば次のようにバラバラになっている写真(ビットマップオブジェクト)の端っこ同士を重ねることでぴったり貼り合わせたい場合です。

 貼り合わせたい一方の断片のブレンドモードを「差分」にして重ねると、次のように同じ色のピクセルは真っ黒になります。

 Altキーを押しながら方向キーでオブジェクトを移動するとピクセル単位で移動させることができる(キャンバスを大きくズームアップしてから行えばさらに細かく移動させることができる)ので、方向キーを使ってピクセル単位で移動させながら重なったところが真っ黒になるようにします。真っ黒になるようにぴったり重ねたら「差分」を「標準」に戻します。

 2つ目のビットマップオブジェクトにも同じことをします。

 これを順番にビットマップオブジェクトごとに行えばぴったり貼り合わせることができます。

 ばらばらに保存したスクリーンキャプチャをササっと貼り合わせるときなどに使えそうです。