このページでは、Inkscapeのバケツツールに関するマイナーな話題をまとめたいと思います。
Inkscapeのバケツツールとは?
まずは「バケツツールの詳細」でバケツツールの基本的な機能と使い方を押さえた上で、バケツツールを使いこなしたいときに知っておくとよいと思うことを書いていきます。
Inkscapeはピクセル単位で色を付けるツール(ペイント系ツール)ではなく、線を描いてその内側に色を付ける(フィルに色を設定する)ドロー系ツールです。Inkscapeのバケツツールも塗りつぶしたい領域の境界線の内側の全ピクセルにくまなく色を付けるのではなく、境界線をなぞるような線(たぶんベジエ曲線)を自動的に描いて、そのパスの内側(フィル)に色を付けるという動作をしています。

ただ、塗りつぶしたい領域の境界線を完全になぞるようなパスを自動的に生成することは難しい(ベジエ曲線で近似するにも限界がある)らしく、境界線と自動的に描いた線(パス)との間に誤差があって、生成したパスが境界線より少し内側になってしまったり、逆に少し外側に出っ張ってしまったりします。

ピッタリに塗りつぶしたように見せたい場合は「バケツツールの詳細」に書いたように、バケツツールのパラメータを調整してわざと少し外側に出っ張るようにパスを生成しておいて、他のオブジェクトよりも下に重ねるのが簡単です。
バケツツールの塗りつぶしスタイル
バケツツールを使ってどんな色で塗りつぶすかは、バケツツールを使う前に、他のツール(ペンツールや星形ツールなど)と同じように、環境設定ダイアログ上でバケツツールのスタイル(正確にいえば、バケツツールで自動生成される新規パスオブジェクトのスタイル)として設定しておきます。

このとき、バケツツールで自動生成されるパスとはいえパスであることに変わりはないので、通常の(手書きの)パスと同じようにスタイル(ストロークの色など)を設定できますが、そうしてしまうと次のように塗りつぶしらしくないパスが生成されてしまいます。

例えばフィルに色を設定せず、ストロークにだけ色を設定した状態のバケツツールを使うと、領域の内側に沿った線だけが描かれることになり、塗りつぶしとは言えません。

そんなつもりはないのに塗りつぶしっぽくないスタイルを設定してあることをうっかりすると「どういうこと?」と思うような結果になります。