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Inkscapeのペンツールの操作手順の詳細

 このページでは、Inkscapeのペンツールを使ってパスを描くときのマウスの操作手順について詳しくまとめてみようと思います。

(2025.03.26更新)

  (参考:ペンツールでパスを描く

 というのも、ペンツールはマウスのボタンを押したり放したりマウスを移動したりすることを繰り返してパスを描くツールで、マウスの操作手順の意味を分かっていないと意図したとおりの形のパスを描くのが難しいのですが、多くのInkscape解説コンテンツではこのマウスの操作手順について詳しく説明されていないように思うのです。

 ペンツールはベジエ曲線以外にもいくつものタイプのパスを描くことが出来る上に、パスのタイプによってマウス操作手順の意味も変わってくるので、とてもややこしいです。

 ペンツールには「ペンツールでパスを描く」のページにまとめたように、パスのタイプに対応する複数のモードがあって、あらかじめその1つをツールコントロールバー上で選んでからキャンバスに描き始めます。

 このとき、キャンバス上でのマウス操作にはモードごとに次のような意味があります。

「ベジエパスを作成」モード

 ベジエパス(セグメントがベジエ曲線のパス)は次のようにノードとノードハンドルから構成されています。(参考:パスを作成/編集

 各セグメントの両端のノードのところに各セグメントの曲がり具合を指定するためのノードハンドルが表示されます。

 ベジエパスをペンツールで描く場合は、このノードの位置とノードから伸びるノードハンドルの位置をマウスで指定していきます。具体的には次のように操作します。

  • マウスの左ボタンを押したところにノードが追加される。
  • そのままマウスの左ボタンを押しながらドラッグして離すとノードハンドルの位置が指定される。(以下、終了点となるノードを追加するまで繰り返す)
  • 終了点となるノードを追加したら右ボタンを押すかEnterキーを押す。

 この3つの操作を組み合わせてセグメントを追加しながら描いていきます。

 ただ、この手順では描きたい曲線になるようにマウスを操作するのは意外に難しいです。ノードハンドルの位置をどこに持ってくればどんな具合に曲がったセグメントになるかは直感的に分かりにくいからだと思います。

 一方で、この操作手順には次のような性質もあります。 

  • ボタンを押してすぐ離す(すなわちドラッグせずにクリックにする)とそこにノードが追加され、かつ、ノードハンドルの長さがゼロになる(ドラッグしていないので)。結果として、その前後のセグメントはまっすぐになる。

 描きたい曲線をいきなり描くのが難しいので、一旦この「クリックする手順」だけを繰り返して、描きたい曲線に近い「折れ線」を描いておいて、その後ノードツールを使ってノードの位置やノードハンドルを調整することで描きたい曲線に仕上げていくほうが簡単なように思います。

 なお、ベジエパスを作成モードでまっすぐな線を1本描きたいときも開始点と終了点でクリックすればいいということになります。

「連続する直線セグメントを作成」モード

 まっすぐなセグメントだけを描きたい場合はこのモードも便利です。

 このモードでは次のような操作が行われます。

  • マウスの左ボタンを開始点で押すとそこにノードが追加される。
  • マウスの左ボタンを離したところにノードが追加される。(以下、終了点となるノードを追加するまで繰り返す)
  • 終了点となるノードを追加したら右ボタンを押すかEnterキーを押す。

 ベジエパスを作成モードでは左ボタンを押した直後にうっかりわずかでもドラッグしてしまうとその前後のセグメントは曲線になってしまいます(これが理由でペンツールは使いにくいと感じるときがあります)が、連続する直線セグメントを作成モードではセグメントは常にまっすぐになるので、折れ線を描きたいときに便利です。

「Bスプラインを作成」モード

 「連続する直線セグメントを作成」モードと同じ手順で描いたパスのノードを制御点とするBスプライン曲線を描きます。

「連続する近軸線の作成」モード

 最初のセグメントは「連続する直線セグメントを作成」モードと同じように描き、その後のセグメントは1つ前のセグメントと直角になる方向にしか描かれないという点以外は「連続する直線セグメントを作成」モードと同様の手順になります。

「スピロパスを作成」モード

 このモードはあまり使わないと思うので省略します。