このページでは、Inkscapeのパスエフェクトの1つ「エンベロープ変形」を使うとどのような変形が起こるのか試してみた結果をまとめたいと思います。

(参考:パスエフェクトの使い方(共通部分))
(2024.06.13更新)
パスオブジェクトに「エンベロープ変形」を適用すると、次のようなダイアログが表示されます。

エンベロープ変形はコントロールパス(曲げるパス)が上下左右に4本あります。ダイアログ上の「キャンバス上で編集」ボタンをクリックするとコントロールパスを1本ずつマウスでドラッグして変形することができるようになります。コントロールパスを変形するとスケルトンパス(エフェクト適用対象のパス)全体もその4本のコントロールパスに沿って変形されます。(コントロールパスについては「パスエフェクトの使い方(共通部分)」を)

コントロールパスを直接変形する以外に、他のパスをクリップボードにコピーしておいてからダイアログ上で「クリップボードのパスへリンク」ボタンをクリックすると、そのコピーされているパスの形にコントロールパスの形を同期させることができます。これは各種パスエフェクトに共通の機能です。
ただ、エンベロープ変形の場合、ちょっと試してみるとわかりますが、コントロールパスの変形に応じてスケルトンパスがどんな様子に変形されるのかは直感的に分かりにくいです。
具体例でやってみました。
次のように楕円を上下半分(青い部分と紫の部分)に分けて、上のパスを上辺のコントロールパスに、下のパスを下辺のコントロールパスにリンクして同期させてみます。適用対象のパス(スケルトンパス)は変形の様子がわかりやすいように格子状のものを描いてみました。

まずスケルトンパスにエンベロープ変形エフェクトを適用して、ダイアログを表示させます。
次に上半分のパス(青い点線)をクリップボードにコピーして、ダイアログの「曲げるパス・上」と書かれている行の右端のボタンをクリックします。

同じように下半分のパス(紫の点線)をクリップボードにコピーして、「曲げるパス・下」と書かれている行の右端のボタンをクリックします。
すると上下のコントロールパスが楕円の上下のパスにリンクされて同じ形になり、それに応じてスケルトンパスも変形されます。

上下のコントロールパスを楕円に沿わせているだけで、左右の(縦方向の)コントロールパスは何もしていない(まっすぐのままにしてある)のですが、スケルトンパスの縦方向もだいぶゆがんできます。上下のコントロールパスの変形の影響がここまで出るということです。
左右のまっすぐなコントロールパスと上下の楕円状に曲がったコントロールパスの間がなめらかにつながるように変形されるので、無理やりひん曲げたような変形になってしまうのだろうと思われます。
そこで次に左右のコントロールパスと無理やりなめらかにつながなくても済むように、左右のコントロールパスに沿う変形を無効にしてみます。ダイアログで次のチェックをはずすと無効になります。

そうすると上下のコントロールパスの形だけに合わせた変形になるので、上下のコントロールパスの端から端まで一杯に沿うように変形されます。

コントロールパスの端の方を少し短くカットすれば、もう少しゆがみの少ない変形になります。

まだゆがみが大きいのでコントロールパスをもう少しまっすぐにしてみます。

これでも結構ゆがみますから、コントロールパスのほんの少しの曲がり具合が縦方向の曲がり具合に大きく反映されることが分かりました。