このページでは、Inkscapeでテキストを他のパスの形に沿うように変形する方法を考えてみたいと思います。

こんなふうにオブジェクト全体を変形する方法には「エンベロープ変形」と「格子変形」という2種類のパスエフェクトを使う方法があります。
後者の「格子変形」は格子状に並べたコントロールパスに沿ってパス全体を変形するので変形の自由度が高いですが、思うように変形するのはなかなか大変です。
一方「エンベロープ変形」は上下左右4本だけのコントロールパスで変形するので、パスの中央付近についての変形の自由度が小さいですが、操作が分かりやすいです。
ここでは「エンベロープ変形」を使ってテキストをパスの形に変形することをやってみました。
「エンベロープ変形」の基本的な使い方は「「エンベロープ変形」を試してみた」にまとめてあります。
例として、楕円の上半分と下半分の曲線に沿うようにテキストを変形してみます。
次のように楕円状のパスを上下に切り分けたものを描きます。

この上下のパスの形に沿って「あいうえお」というテキスト(をパスオブジェクトに変換したもの)を変形させてみます。
まず上下左右のコントロールパスをデフォルトの「有効」のままにして、上半分のパスを上辺のコントロールパスに、下半分のパスを下辺のコントロールパスにリンクします。

「「エンベロープ変形」を試してみた」にも書いたように、上下の(すなわち横方向の)コントロールパスと左右の(すなわち縦方向の)コントロールパスをなめらかにつなごうとするせいか、縦方向のゆがみが大きいです。
そこで左右のコントロールパスを「無効」に切り替えてみました。

少しゆがみが小さくなりました。
コントロールパスを楕円の端まで使って設定しているので、テキストの端のほうのゆがみが大きくなっているということで、上下のコントロールパスの端を切り取って短くしてみました。

これならだいぶゆがみも小さくなっています。でも逆に楕円の内側を埋めたような感じが弱くなってしまいました。
テキスト全体をまとめて変形しようとするからこうなるので、次はテキスト全体を変形するのをやめて、1文字ごとに手で変形してみようと思います。
テキストオブジェクトをパスオブジェクトに変換すると、全部で1個のパスオブジェクトになってしまい、1文字ごとに変形することはできないので、まず一旦1文字ごとのパスにバラバラにします。
それには次の手順を踏みます。
テキストオブジェクトを選択 → オブジェクトをパスへメニュー → パスを分割メニュー(独立したサブパスがそれぞれパスオブジェクトになる) → バラバラになりすぎているところを選択して結合メニュー(例えば「い」の左側と右側を同時に選択して結合して1個のパスにする)
これで1文字ごとのパスオブジェクトになります。

そしてこの1文字ごとのパスオブジェクトのそれぞれにエンベロープ変形を適用して、上下のコントロールパスを手で調整していきます。もちろん左右のコントロールパスは「無効」に切り替えておきます。

手間はかかりますが、文字の大きさのバランスなどもとりつつ1文字ずつ変形していきます。
