お絵描きソフトInkscape(インクスケープ)の使い方を初級レベルから上級レベルまで広く紹介しています。
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Inkscapeでイルミネーションっぽい絵を描く

 冬到来ということで、Inkscapeを使ってイルミネーションっぽい絵を描く手順を考えてみました。いろんな機能を組み合わせて描いてみたので、他にも応用がきく手順になっていると思います。

 Inkscapeのどんな機能を組み合わせているのかを簡単にまとめておきます。

  • タイルクローンでランダムに配置、大きさ、色を変化させたオブジェクトを縦横に並べる。
  • クリッピングで縦横に並んだオブジェクトを三角形に切り取る。
  • ぼかしを入れたオブジェクトのブレンドモードを「スクリーン」に設定して重ねることで輝いているように見せる。

 具体的には次のような手順でやってみました。

 まず小さい円を描きます。色は「アンセット」にします。「アンセット」にするとキャンバス上では黒く表示されます。なぜ「アンセット」にするかというと、タイルクローン機能で自動的に色を設定できるように何の色も付けていない状態にする必要があるからです。

 「アンセット」について詳しいことは「クローンを作る」のほうに書いてあります。

 タイルクローンを作成ダイアログを開いて、まずシフトタブに次のように設定することで、生成するクローン群の位置を縦横ぴったりの位置からランダムにずらします。

 次に拡大縮小タブに次のように設定することで、上のほうから下のほうに向かってクローンが少しずつ大きくなっていくようにします。

 次に色タブに次のように設定することで、黄色を中心として微妙に(かつランダムに)色が変化するようにします。

 タイルクローンを作成ダイアログでこのように設定してからさきほどの小さい円を選択し、タイルクローンを作成ダイアログの「作成」ボタンをクリックします。すると縦横(からランダムにずれた位置)にその円のクローンが配置されます。

 左上の黒い円がクローン元のオブジェクトです。

 これだけではクローン同士をぎっしり詰めたような配置になるので、イルミネーションのようにところどころに点があるような絵になりません。

 そこで、クローン元オブジェクトをCtrlキー+シフトキーを押しながらドラッグして小さくします。するとほかのすべてのクローンもそれに合わせて小さくなります。これはクローン元とクローンの重要な性質の1つです。

 次に最終的なイルミネーションの形(例えばクリスマスツリー)のパスを上から描き、「パスに重なっているオブジェクトだけ選択」のほうで書いた手順でそのパスの形にクローン群を切り取ります。

 切り取ると次のようになります。

 そしてイルミネーションぽくなるように暗い色の背景(矩形オブジェクト)を下に重ねます。

 イルミネーションぽくなってきたんじゃないかと思います。

 最後にこの円のそれぞれに、ぼかしを入れた別の円を重ねることで、輝いているかのように見える効果を加えます。

 1個の円でその手順を説明すると、円を複製して、複製後の上に重なっているほうの円にぼかしを適当に加えます。さらに上に重なっているほうの円のブレンドモードを「スクリーン」に設定します。「スクリーン」にすると、重ねて表示したときに、暗いところは少し明るく、明るいところはさらに明るくなるという効果があるので、ぼかした円をぼかしてない円の上にピッタリ重ねると光り輝く玉のように見えます。

 これと同じことをさきほど三角形に切り取ったクローン群について実行します。クローン1つ1つについて操作したりする必要はなくて、クローンをまとめて全部選択しておいてから複製し、まとめて全部の「ぼかし」を調整すれば、1回の操作で全部のクローンに光を加えることができます。

 あとはタイルクローンで生成する円を縦横に増やしたり、ぼかしを入れたほうの円をところどころ拡大したりすると、よりイルミネーションぽくなるんじゃないかと思います。