Inkscapeには、いわゆる「コピペ」のようにオブジェクトの分身を作る方法が「コピペ」以外にもいろいろあるので、このページではそれらを紹介していきたいと思います。

- Contents
- クリップボード上のオブジェクトを貼り付け
- クリップボード上のオブジェクトを重ねて貼り付け
- スタイルを貼り付け
- 複製
- ドラッグしながらその場に貼り付け
- 別のページの同じ位置に貼り付け
- クローン
(参考:コピペ操作と複製操作の違い)
(2025.1.22更新)
クリップボード上のオブジェクトを貼り付け
これは多くの編集ツールでサポートされているいわゆる「コピペ(コピー&ペースト)」です。
選択したオブジェクトを切り取ったり、コピーしたりすると、そのデータがクリップボードに保存され、次に貼り付け(ペースト)操作を行うとキャンバス上にオブジェクトの分身が追加されます。説明するまでもない基本的な機能でしょうか。
ポイントは、貼り付けられる場所がマウスカーソルの位置で、その時点で選択状態のオブジェクトのすぐ上に重なる場所ということです。何も選択されていない状態では一番上に貼り付けられます。
例えばマウスカーソルを動かしながら貼り付け操作(Ctrl+'V')を繰り返すとマウスカーソルの軌跡に沿って同じオブジェクトを並べるなんてこともできます。

クリップボード上のオブジェクトを重ねて貼り付け
普通の貼り付け操作ではマウスカーソルの位置に貼り付けられますが、編集 > 貼り付け > 同じ場所にメニュー(またはCtrl+Alt+'V')を操作すると、選択状態のオブジェクトにぴったり重なった状態で新しいオブジェクトが追加され、そちらが選択状態になります。
スタイルを貼り付け
編集 > 貼り付け > スタイルメニュー(またはCtrl+Shift+'V')を操作すると、クリップボード上のオブジェクトのスタイルを選択状態の別のオブジェクトのスタイルに転写することができます。

例えば、フォントの種類や大きさをテキストオブジェクトから別のテキストオブジェクトに貼り付けてフォントを揃えることができます。
なお、矩形オブジェクトのスタイルをテキストオブジェクトに転写するような、種類の異なるオブジェクト同士でもスタイルを張り付けることができますが、スタイルのいろんな属性のうち、どの属性が貼り付ける対象とされているのかは、貼り付け元と貼り付け先のオブジェクトの種類の組み合わせに依るようで、よくわかっていません。
複製
ところで、コピペによってオブジェクトの分身を作る操作の別の言い方として「オブジェクトを複製する」と表現することもできそうに思われますが、Inkscapeでは「複製」という言葉をある特殊な分身の作り方を指す言葉として使っているので、注意が必要です。
Inkscapeでは「複製」という言葉は単に分身を作ることを指すのではなく、コピペのようにクリップボードに保存するステップを踏まずに直接キャンバス上にそっくりなオブジェクトをもう1個生成する操作を指します。
複製したいオブジェクトを選択しておいて、編集 > 複製メニュー(またはCtrl+'D')を操作すると、クリップボードにコピーすることなく、選択状態のオブジェクトの分身を重ねてくれます。

なお、この複製操作や、前に紹介した同じ場所に貼り付け操作を行っても、画面上では何も変化がないように見えるので、実は分身がすでに貼り付けられていることを見落としがちなので注意が必要です。
また、Ctrl+'D'で複製をするときにキーを長めに押し続けるといわゆる「キーリピート」が起こって複製処理が繰り返されてしまい、大量の複製オブジェクトが同じ位置に重なった状態になってしまうので、これも注意が必要です。
ドラッグしながらその場に貼り付け
オブジェクトをマウスでドラッグしている途中でスペースキーを押すと、今そのオブジェクトがある位置に、そのオブジェクトの複製を貼り付けてくれます。次々に同じオブジェクトを複製したいときに便利です。
なお、複製メニューから実行したときと同じで、クリップボードへのコピーはされません。
別のページの同じ位置に貼り付け
貼り付け > ページにメニューを操作すると、別のページ上で選択→コピーを実行したオブジェクトを、現在編集中のページの同じ位置に貼り付けてくれます。
複数のページの同じ位置に同じオブジェクトを描きたいときに便利です。
(参考:ページツール(複数のページを作る))
クローン
もう1つのオブジェクトにデータをコピーするのではなく、あるオブジェクトを親としてその属性を継承した別のオブジェクトを分身として追加する「クローン」という方法があります。親であるクローン元オブジェクトで定義されている属性がクローン先のオブジェクトに引き継がれるので、クローン元オブジェクトの属性を変更した場合には、クローン(クローン先オブジェクト)のほうの見た目もそれに同期して変化します。
詳しくは「クローンを作る」のほうで。