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Inkscapeでインセット/アウトセットを描く

 このページでは、オブジェクト(シェイプ、パス、テキスト)のアウトラインを、そこから一定の距離にある内側(外側)のアウトラインに変形する機能「インセット/アウトセット」について紹介します。

(2022.11.11更新)

インセット/アウトセットとは

 類似の機能を含めると、インセットアウトセットダイナミックオフセットリンクオフセットの4種類があります。

 インセットアウトセットは、選択したオブジェクトのアウトラインを環境設定振る舞い > 変化量インセット/アウトセット量に設定した距離だけ離れたアウトラインに変形します。

 ダイナミックオフセットは、専用のハンドルをドラッグした分だけ離れたアウトラインに変形します。

 リンクオフセットは元のオブジェクトの複製を生成してその上に専用ハンドルを表示し、その複製後オブジェクトの専用ハンドルをドラッグした分だけ離れたアウトラインに変形します。

 パスだけでなく、シェイプや文字も変形することができます。

インセット(アウトセット)

 変形対象のオブジェクトを選択しておいてメニューからパス > インセットを操作すると、そのオブジェクトのアウトラインが、設定した距離だけ離れた内側に縮みます。バウンディングボックスのサイズ変更とは違って、元のアウトラインからの距離を基準とするので、縮んだあとは縮む前の相似形ではありません。例えば尖がったところのある図形をインセットで変形すると、変形後は次のように2つの図形に分かれることもあります。

 アウトセットはこの逆で、アウトラインが外側に広がります。

 なお、上のサンプルは説明のために年輪状になっていますが、これはインセット前のオブジェクトを手でコピーしておいて、インセット後のオブジェクトと重ねたものです。

ダイナミックオフセット

 インセット/アウトセットでは、あらかじめ設定された距離を使いますが、ダイナミックオフセットは、ハンドルをドラッグすることで距離の指定を手動で行うことができます。

 ノードツールを使って変形対象のオブジェクトのノードを表示しておいて、メニューからパス > ダイナミックオフセットを操作すると、オブジェクトの上のほうに1つだけハンドルが現れます。このハンドルをドラッグすると、オブジェクト全体を縮めたり広げたりすることができます。

リンクオフセット

 リンクオフセットは、ダイナミックオブジェクトとよく似ていますが、選択しているオブジェクトそれ自体にハンドルを表示するのではなく、選択しているオブジェクトのコピーを自動的に生成してピッタリ重なるところに貼り付け、その複製後のオブジェクトのほうにハンドルを表示します。だから、ハンドルをドラッグすると、元のオブジェクトと複製後のオブジェクトが両方表示されます。

 複製後のオブジェクトは元のオブジェクトとの間で内部的にリンクが張ってあって、元のオブジェクトを手で変形すると、その変形は複製後のオブジェクトのほうにも反映されます。この状態はオブジェクトのクローンとよく似ていますが、クローンと異なり、リンクオフセットの場合は変形操作だけが反映されます(クローンは色の変更なども反映されます)。クローンのオリジナルを選択する機能はリンクオフセットの場合も動きますが、リンク解除は機能しません。

インセットとオフセットの違い

 同じ距離だけ離れたところをどこにするか、という点でインセット/アウトセットとダイナミックオフセット/リンクオフセットとは少しだけ違いがあるようです。例えば次のようにとんがったところの近くでどのように変形するかに違いがあります。

 左がインセット、右がリンクオフセットです。

文字の変形の例

 テキストオブジェクトも、そのまま(パスオブジェクトに変換することなく)インセットやオフセットを使って変形することができます。テキストオブジェクトをノードツールで選択しておいて、同じようにインセットやオフセットのメニューを操作するだけです。

オフセット操作の終了

 ダイナミックオフセットまたはリンクオフセットで変形操作を始めると、オフセット設定用のハンドルが表示されますが、その代わりにノードツールを使って通常のハンドルを表示しようとしても、オフセット設定用のハンドルしか表示されなくなってしまうようです。通常のパス変形用のハンドルを表示させたい場合は、メニューからパス > オブジェクトをパスへを操作しますが、シェイプ変形用のハンドルに戻すことはできないようです。