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Inkscapeのパスエフェクト:スケッチ

 このページでは、Inkscapeのパスエフェクトの1つである、1本の線(オリジナルパス)を、複数の短い線を繰り返し重ねて描いたようなパスに変換して表示してくれるエフェクトを紹介します。

 紙の上に鉛筆でスケッチするような線になります。

 (参考:パスエフェクト/エクステンションとは

(2023.03.13更新)

 例えば次のように変換されます。左上のオリジナルパスに沿って鉛筆を繰り返しなぞるように動かして描いたようなパスになります。まさにスケッチをするときの描線です。

 もう少し具体的にいうと、オリジナルパスの形(曲率など)に沿うような複数の短い線を、それらの位置や長さや形がランダムに変化するように生成することで、変換後のパスにします。

 生成される短い線には、ストロークコンストラクションライン(作図線?)の2種類があります。ストロークは、オリジナルパスにぴったり沿って曲がっている短い線を基準として、それをランダムに変形したものです。コンストラクションラインは、オリジナルパスのところどころで接線となるような短くてまっすぐな線を基準として、それをランダムに変形したものです。ストロークとコンストラクションラインを適度に混ぜて描くと、結果的に鉛筆で繰り返しこすったような線に見えるものになるようです。

 どのぐらいの長さにするか、どのぐらい位置をずらすか、どのぐらい変形するか、などはダイアログ上の数値パラメータで指定します。

 仮に極端なパラメータとしてランダムの度合いを「ゼロ」に指定すると、ストロークコンストラクションラインも基準となる線をオリジナルパスに沿って端からピッタリ並べたようなものになります。

 一方で、ランダムの度合いを大きくすると、各線が少しづつ違う長さや形になったり、互いに重なったりするようになります。

 あとは各パラメータを適度に調整していけば、手書きしたような線になるというわけです。

ストロークのパラメータ

 ストロークに対して指定できるパラメータは以下のものです。

ストローク数:オリジナルパスの同じ場所に並べるストロークの本数を指定します。この数を増やすと同じ場所を何度もこすったようなパスになります。

最大ストローク長:ストロークの個々の線を変形したときの長さの上限をピクセル数(px)で指定します。(・・・と解説コンテンツには書いてありますが、やってみるとそのピクセル数の長さよりも長くなってしまうので、指定する数値の単位が実は違うのかもしれません。)

ストローク長変動量:最大ストローク長を1.0としたときにどのぐらいの範囲でランダムに長さを変化させるかを指定します。

最大オーバーラップ量:最大ストローク長を1.0としたときに隣のストロークとどのぐらい重なり合うように配置するかを指定します。

オーバーラップ変動量:最大オーバーラップ量を1.0としたときにどのぐらいの範囲でランダムにオーバーラップ量を変化させるかを指定します。

終点の最大許容差:オリジナルパスの終点のところでストロークの切りが悪いときに、最大ストローク長に対するこの長さまでは次のストロークの端っこを描かないようにするかを指定します。これを1.0にすると、最大ストローク長の分までは次のストロークをちょっとだけ描くようなことをせずに「空白」のままにします。

平均オフセット量:オリジナルパスからどのぐらい離れたところにストロークを描くかをその平均値で指定します。

最大振動幅:基準となるストロークにどのぐらいの幅で変形(振動)を加えるかをピクセル数で指定します。変形自体がどんな変形なのかは分かっていません。

振動の頻度:1本のストロークの中で変形に使われる(パスの)ノードの数の平均を指定します。

 これらのパラメータの厳密な意味は正式なマニュアルが無いのではっきりとはしていません。ピクセル数で指定する(と言われている)パラメータも、明らかにピクセル数として扱われていません。

 例えば、100pxの長さのオリジナルパスに最大ストローク長として54pxを指定しても、ほぼ100pxの長さのストロークになってしまいます。どういう動作をしているのか把握できていません。

 とはいえ、ざっくりと言えば、パラメータをより大きくするとオリジナルパスに比べてより荒っぽい線になる、という感じです。

コンストラクションラインのパラメータ

 コンストラクションラインに対して指定できるパラメータは以下のものです。


コンストラクションライン数:オリジナルパスに並べるコンストラクションラインの本数を指定します。この数を増やすとオリジナルパスに沿って何度もこすったようなパスになります。

配置のランダム性:0.0なら均等の位置に生成し、1.0なら完全にランダムな位置に生成します。

尺度:オリジナルパスからコンストラクションラインの端までの距離を揃えるときに、オリジナルパスの曲率に対してどのぐらいの距離を設定するかを指定します。大きい値を指定するとオリジナルパスから大きく離れるところまでコンストラクションラインを引くので、線の長さ自体もより長くなります。

最大長尺度に応じてコンストラクションラインの長さが決まるときに、その長さの上限を指定します。尺度がある程度大きくてもコンストラクションラインが長くなりすぎないようにする効果があります。

長さの変動量:ストローク長変動量と同様の値を指定します。