ここでは、透視図法で描いた三次元の箱の絵の表面にテキストを貼り付けてみたいと思います。

試行錯誤でやってみたところ、実はいろんな手順を踏まないといけないことがわかってきました。
(2023.04.25更新)
主に、エクステンションのエンベロープとパスの分割機能を使いました。
箱の角にくる位置で、テキスト全体を左右に分け(パスの分割)、あらかじめ箱の表面に描いておいた「貼り付けたい場所」を示す四角形をはめ込み先のパスとして選択してからエクステンションを実行することにより、テキストの左部分と右部分がそれぞれ貼り付いたように見える絵にすることができます。
まず、貼り付けたい場所を示す四角形を3Dボックスの表面に描きます。そのためには3Dボックスの辺に重ねて長い直線を描いて、その交点を消失点として、3Dボックスの表面に透視図法で矩形を描きます。

消失点までの長い直線を引くには、Ctrl+Alt+ドラッグで角度が変わらないようにパスのノードをドラッグすることができるという機能を使うのが良さそうです。
上の例ではさらにテキストを貼り付けたい場所に色を塗って分かりやすくしてあります。
ここで、貼り付けたい場所を示す四角形ですが、どこを始点にして、時計回りと反時計回りのどちらを向いているパスであるかは重要です。エンベロープエクステンションで変形するときは、はめ込む対象のオブジェクトの四隅とはめ込み先のパスの四隅は順番が一致するように変形されるからです。
パスの始点と向きを確認するには、パスのスタイルとして、始点マーカーと中間マーカー(向きの分かりやすいもの)を設定するのが早いです。

実際に設定すると、次のような表示になります。

これなら、どちらの四角形も、左上が始点で、時計回りのパスになっているので、エンベロープを実行したときに正しい向きではめ込むことができます。
次に貼り付けるテキストオブジェクトですが、箱の角のところで左右の文字がぴったりつながるように、貼り付けるテキストのすぐ外側を矩形で囲って、まるで1枚のシールの上に描かれているかのようにしておきます。こうすると、エンベロープを実行して変形した後でも文字の左右がぴったり揃います。(もしテキストだけだと、左の文字列の高さと右の文字列の高さに差が出てしまい、はめ込むときに箱の角のところで位置がずれてしまいます。)

次にテキストオブジェクトを選択して、パス > オブジェクトをパスへを実行します。すると、1文字ずつのパスオブジェクトがまとめられた1つのオブジェクトグループになります。
このままでは次のステップのパスの分割ができない(オブジェクトグループは分割できない)ので、生成されたオブジェクトグループを解除しておきます。

そして、箱の角で折り曲げたいところに垂直のパスを2本描きます。この2本はピッタリ重なった状態で描きます(複製を実行すれば簡単です)。うち一本は「を」のパスを左右に分割するための線で、もう一本はテキストを囲っている矩形を「を」と同じ位置で左右に分割するための線です。

そして、重なりの一番上に垂直線の1本を、そのすぐ下にテキストを移動しておいて、その垂直線と「を」のパスを両方選択して、パス > 分割を実行します。そうすると、一番上に重なっている垂直線のところで、その下の「を」が左右に分割されます。(同時に、選択しておいた垂直線は消えます。)
同じように、もう一本残った方の垂直線とテキストを囲っている矩形を選択して分割を実行します。すると、同じ位置で矩形のほうも左右に分割されます。

左右のパス群は(矩形も含めて)それぞれグループ化しておきます。
そして、まず左のグループを選択し、それに加えて左の貼り付け先の四角形を選択し、エクステンション > パスの変形 > エンベロープを実行します。右のグループについても同様です。

あとは、不要な線や色を消せば完成です。箱の立体感がさらに出るように、文字の部分の色も少し変えておきます。
