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Inkscapeのドキュメントリソースダイアログ

 このページでは、Inkscapeのドキュメント内のリソースを表示させる機能を持つ「ドキュメントリソースダイアログ」について紹介します。

(2024.08.20更新)

ドキュメントのリソースとは

 まず、そもそも「リソース」とは何か?ということを理解しておきたいです。

 Inkscapeのドキュメントデータには「リソース」と呼ばれる、キャンバス上のオブジェクトからリンクを張って利用可能な「共有される部品」のようなものが埋め込まれていることがあります。

 ドキュメント内のいずれかのオブジェクトに設定されているグラデーションや、シンボル一覧から貼り付けられたシンボルや、インポートされている画像は、いずれも「リソース」で、言い換えれば「リソース」とは1つのドキュメント内で共有される部品のようなものの総称です。

 HTMLの<img>エレメントで参照される画像データなどもリソースの一種だと思いますが、Inkscapeのドキュメントの世界(SVG形式データの世界)ではリソースと言えば同じドキュメント内のデータを指しているようです。

 (参考:塗りつぶし用の部品の詳細

 (参考:コピペ操作と複製操作の違い

リソースとアセット

 一方、ドキュメント内のいずれかのオブジェクトに設定されているフォントやそれ以外のスタイルの情報は、ドキュメント内のオブジェクト間で共有されるものではありませんが、それらは「リソース」とひっくるめて「アセット(asset)」と呼ばれています。「アセット」には「リソース」と「リソース」でないものとがあると思えば良さそうです。

ドキュメントリソースダイアログ

 Inkscapeバージョン1.3で追加された新機能「ドキュメントリソースダイアログ」は、このドキュメント内のアセットを一覧表示して管理する(名前の変更や外部ファイルへの保存)ことを可能にしています。


 ドキュメントリソースダイアログが一覧表示するのは次のアセット(その一部はリソース)です。

  • フォント(fonts)
  • スタイル(styles)
  • カラー(colors)
  • スウォッチ(swatches)
  • グラデーション(gradients)
  • フィルタ(filters)
  • 塗りつぶしパターン(patterns)
  • シンボル(symbols)
  • マーカ(markers)
  • 画像(images)
  • 外部リンク(external references)

 ・・・とここまでマニュアル的な情報をメモしてきましたが、このダイアログで何が出来るようになったのかというと、大したことはできないような気がしています。

ダイアログの機能

 そもそも「リソースダイアログ」という名前になってますが、リソースではないアセットも一覧表示されます。例えば「カラー」と呼んでいるアセットが一覧表示されますが、これはどうやらドキュメント中で設定されている色情報を自動的に抽出して並べているだけで、このダイアログで他のオブジェクトにも設定したり色を変更できるなどの特別な操作が出来るわけではなく、単に使われている色を一覧して眺めることができるぐらいなのかな、という印象です。

 リソースに当たるアセットについても同様で、例えば選択したオブジェクトの色を色見本(スウォッチ)というリソースとしてスウォッチダイアログに登録して再利用することができます(参考:独自のカラーパレット/スウォッチダイアログを作る)が、ドキュメントリソースダイアログにはこのスウォッチが一覧表示されるだけで、特に部品として操作できるようになっているわけではなさそうです。

 なお、一度キャンバス上で用いたアセットでその後未使用状態になったものについて、次のボタンを押すとドキュメント中に埋め込まれているアセット定義部分を削除(処分?)してくれます。

 また、この削除ボタンの右側にある検索欄に文字を打つと、その文字列を一部に含む項目だけが表示されるようになります。

 例によって(?)リリースノート以上の詳しい解説コンテンツを発見できていないので分かっていないことが多そうですが、現時点で分かっているのは、設定されているすべての色をパレットファイルとしてエクスポートする機能と、埋め込まれている画像をファイルとしてエクスポートする機能と、リソースの名前を変更できる機能があるということぐらいです。

 ドキュメントの中に埋め込まれているリソースそれ自体はキャンバス上に直接描かれるものではないことが多いので、このダイアログがもう少し進化して、リソースを可視化して再利用を助けてくれるものになればうれしいかなと勝手に思ったりします。