このページでは、Inkscapeで独自のカラーパレットやスウォッチダイアログを表示させる方法を紹介します。

(参考:オブジェクトのスタイルを設定する)
(参考:塗りつぶし用の部品の詳細(色、パターン、グラデーション))
(2023.8.1更新)
はじめに
この機能を使うと、キャンバス上に描いたオブジェクトの色をカラーパレットやスウォッチダイアログに登録して再利用することができます。
ちなみに、カラーパレットとスウォッチダイアログは、画面上のレイアウトが違うだけで、選択できる色の種類や自前の色の登録の仕方は共通しているので、1つの色をカラーパレットとスウォッチダイアログの両方に同時に登録して再利用することができます。
独自色を登録する2つの方法
1つ目は、キャンバス上に描いた絵を「GIMP」という別のお絵描きツールのパレットファイルの形式で保存して、Inkscapeに読み込ませる方法です。
このファイルは「GPL(GIMP Palette)」と呼ばれる形式のテキストファイルで、カラーパレットやスウォッチダイアログに表示される色の値を並べたものです。
Inkscapeに読み込ませると、そのパレットを選択するメニューが表示されるようになるので、既存のパレットから切り替えて利用することができます。
2つ目は、すでに色が並んでいるパレットではなく、空のパレットを選択しておいて、キャンバス上の各オブジェクトの色を1つずつそこに登録していくという方法です。
この自前で色を登録したパレットは編集中のドキュメントに埋め込まれているので、ドキュメントごとファイルに保存されて、再び読み込んだときにカラーパレットやスウォッチダイアログに表示されます。
ただし、2つ目の方法で登録していったパレットはパレット単独で保存することはできないようです。
1つ目の方法(GPL保存)
まず、キャンバス上に描いたオブジェクトをGPL形式ファイルに保存します。
例えば、次のようにいくつかの色違いのフィルの図形が描かれているとします。

ここでファイル > エクスポートメニューを操作してエクスポートダイアログを表示し、GPL形式を選んでファイルに保存します。ファイル名は何でもいいです。

なお、ここで保存したパレットを後でメニューに表示するときのメニューラベルは編集しているSVGファイルのファイル名になります。
また、エクスポートではなく、名前を付けて保存とかコピーを保存でも良いのですが、エクスポートを使うとパレットに登録したい色のオブジェクトだけをキャンバス上で選択しておいて、選択しているオブジェクト(の色)だけをパレットファイルに保存することができるので、いろいろ便利だと思います。(参考:一部分の別ファイルへの保存)
このGPLファイルの中身はつぎのようになっています。

「Name」のところに編集しているSVGファイルのファイル名がセットされています。
パレットに登録された色は、キャンバスに描いた6個のオブジェクトそれぞれの色です。
ちなみに、どんな順番で並んでいるのかというと、いろいろ試してみた結果、どうやら色情報(00FF00とかいうところ)の数値としての大きさの順に並んでいるようです。たまたま見つけた解説コンテンツでは黒から白に向かって並んでいるという説明が書かれていましたが、そうではなさそうです。
また、1行目に黒(#000000)が登録されていますが、これはGPLファイルとして保存する際に自動的に挿入されるものらしいです。自分では黒を使っていないのにGPLファイルに保存すると必ずこの黒の行が追加されています。
このファイルをパレットファイルの置き場所であるフォルダに置きます。そのフォルダはどこかというと、ファイル > 環境設定メニューで表示される環境設定ダイアログのシステムというタブのユーザパレットという項目に設定されいているフォルダになります。例えば「…\AppData\Roaming\inkscape\palettes」といった感じのフォルダになっていると思います。
そして、Inkscapeを再起動して、スウォッチダイアログの右下の三本線のボタンを押してパレット一覧を表示させます。

すると、さきほど保存したPDLファイルのパレットも一覧に追加されています。

これを選択すれば、スウォッチダイアログにこの自作パレットの色一覧が表示されます。

カラーパレットのほうも手順は同じです。カラーパレットの右端にある三本線のボタンを押します。

2つ目の方法(Autoパレットへの登録)
まず、スウォッチダイアログからパレット一覧を表示させます。すると、一番上に「Auto」と書かれているパレットがあります。

この「Auto」パレットを選ぶと、スウォッチダイアログに空っぽのパレットが表示されます。

この「Auto」パレットは、他のパレットとは違い、ドキュメント内に埋め込まれているパレットです。
この空の「Auto」パレットに色を登録していきます。その登録はフィル/ストロークダイアログから行います。
例えば次のようにフィルとストロークに色を設定したオブジェクトを描きます。

そして、フィル/ストロークダイアログのスウォッチボタンを押します。

すると、フィルやストロークの色情報が、そのオブジェクトに直接設定されている色情報ではなく、ドキュメントの共通領域の「スウォッチ」一覧に新たに登録した色情報に置き換わります。

このあたりは任意のオブジェクトをシンボルとして登録する動きに似ています。
(参考:シンボル(図形部品)を描く)
フィル/ストロークダイアログ上でスウォッチに登録された色は、同時にスウォッチダイアログとカラーパレットのAutoパレット上にも表示されます。

同様に、ストロークの色についてもフィル/ストロークダイアログからスウォッチに登録すると、この色(青色)もAutoパレットに追加されます。(次の画面はバージョン1.3のものに差し替え済み)

ちなみに、このスウォッチダイアログ上で「●」が付いている色は選択中のオブジェクトのフィルの色であることを示し、「○」が付いている色は選択中のオブジェクトのストロークの色であることを示しています。
Autoパレット上の各色は、その色の上で右クリックすることで、それぞれ削除したり編集したり、良く使う色としてピン止め(パレットの先頭に表示)することもできます。
このAutoパレット上の色だけ、パレットファイル(GPLファイル)に保存することができればよかったのですが、どうもそういう機能はないようです。
ドキュメント間でパレットを共有したい場合は、Autoパレット上の色を全部設定した絵を描いておいてGPLファイルに保存してInkscapeに読み込ませるとか、Autoパレットを含むドキュメント(SVGファイル)をテンプレートとして利用するとかいう方法でしょうか。