このページでは、Inkscapeを使って「変形を再適用する」方法について紹介します。

ここで「変形」というのは、オブジェクトの移動、拡縮、回転、傾けといった、オブジェクト全体の座標が変化するような編集操作のことです。
(参考:オブジェクトの変形)
(2023.11.01更新)
例を示したほうが分かりやすいかと思います。
例としてオブジェクトの移動を再適用してみます。
まず適当にオブジェクト(この場合は矩形)を描いて、そのオブジェクトを複製します。(メニューで編集 > 複製を操作するか、Ctrlキー+Dを押します。)

複製操作を行うと複製後のオブジェクトは複製元のオブジェクトにぴったり重なった状態で生成されるので、説明上分かりやすくなるようにこの例では少しずれて見えるように加工してあります。
次に複製後のオブジェクトを任意の位置に移動します。

このときInkscapeは内部でその移動によって発生した座標の変化量を「一番最近実行された変形操作」として記憶しているようです。
次に「Ctrlキー+Altキー+D」を押します。すると選択されているオブジェクトを複製するとともに、その記憶していた移動操作(変形操作)を選択されているオブジェクトに対してもう一度実行(すなわち「再適用」)します。移動されたオブジェクトは選択状態に切り替わるので「Ctrlキー+Altキー+D」を連打すると、複製操作と、同じ量の移動操作とを再帰的に繰り返すことになります。

というように、同じオブジェクトを複製しては同じ変形操作を行うという手順をキーの連打で実行することができるというわけです。
回転や拡縮や傾けについても同じことが実行可能です。

タイルクローンよりも単純な繰り返しパターンを描きたいときに使えそうです。
例えば正六角形で埋めたいときも「Ctrlキー+Altキー+D」を連打すれば短時間で描くことができます。

なお、「Ctrlキー+Altキー+D」ではなく「Ctrlキー+Altキー+T」を連打すると複製せずに同じ変形を繰り返すこともできます。