このページでは、Inkscapeのバージョン1.4で追加された「グリッド/ガイドライン強制スナップモード」についてまとめたいと思います。
(2024.10.17更新)
簡単に言えば、スナップダイアログ上でいろんなスナップ対象が設定されていたとしても、それを無視してグリッドやガイドラインに強制的にスナップさせるように環境設定上で設定できる機能です。
リリースノートなどでは「always snap」という表現になっていますが、これでは意味が分かりにくいので、勝手ですが「グリッド/ガイドライン強制スナップモード」と呼ぶことにしました。
環境設定の振る舞い > スナップの中に「スナップ対象を制限」という項目があります。そこには「常にグリッドにスナップ」「常にガイドにスナップ」というチェックボックスがあります。

このチェックボックスの意味は、ここにチェックを入れ、かつ、スナップダイアログ上でグリッドやガイドラインにチェックを入れて、かつ、キャンバス上にグリッドやガイドラインを表示している場合、他のどんなスナップ対象にチェックが入っていても無視してグリッドやガイドラインにしかスナップしなくなるということです。
しかもグリッドやガイドラインにしかスナップしないので、オブジェクトやパスのノードをドラッグしているときにグリッドやガイドラインまでかなり距離があったとしてもそこに向かってパッと吸い寄せられる(スナップする)ようになります。
例えば環境設定で「常にグリッドにスナップ」にチェックを入れ、スナップ対象に「グリッド」を選択していると、ノードはグリッド上にしか配置できなくなります。不可能ではないですが、グリッドとは関係ないところに配置するのは難しくなります(遠くからでもスナップしてしまうので)。
「常にグリッドにスナップ」「常にガイドにスナップ」の両方に同時にチェックを入れている場合はグリッドにもガイドラインにもスナップします。
さらに環境設定の下のほうに「グリッド/ガイドに常時スナップの間」という妙な項目もあります。この項目は「たとえグリッドやガイドラインへ強制的にスナップするよう設定してあったとしても、ここでチェックを入れた他のタイプのスナップも動作させる」という意味です。とてもややこしいです。
例えば「オブジェクトへのスナップを許可」にチェックを入れておいて、スナップダイアログのほうでも何かしらのオブジェクト(のノード)へのスナップを有効にしている場合、「常にグリッドにスナップ」や「常にガイドにスナップ」にチェックが入っていてもいなくても、そのスナップダイアログ上で有効になっているスナップも動作します。
「グリッド/ガイドに常時スナップの間」には「整列のスナップを許可」「配置のスナップを許可」というチェックボックスもあります。これはスナップダイアログでいうところの「割り付け」やその下位の「同じ距離」というチェックボックスで有効になるスナップにそれぞれ対応します。

整列と配置ダイアログで言うところの「整列」や「配置」ではないので注意が必要です。整列と配置ダイアログでの操作はスナップではないのでここでの話とは無関係にいつでも機能します。