このページでは、Inkscapeのバージョン1.4で追加された「シェイプビルダツールを使って画像の一部を切り取る」機能についてまとめてみたいと思います。
(2024.10.18更新)
(参考:シェイプビルダツール)
画像データをキャンバスにインポートしてビットマップ画像オブジェクトを作り、それに重なるようにパスやシェイプを描いて、それらを全部まとめて選択しておいてツールバーでシェイプビルダツールをクリックします。
するとシェイプビルダツールの編集状態になるので、マウスでクリックしたりドラッグしたりしてつなぎ合わせるなどの編集を行います。そしてEnterキーを押すなどしてシェイプビルダの編集状態を終了すると、それまでの編集によって生成されたパスに囲われた領域でビットマップオブジェクトが切り取られます。

ビットマップオブジェクトと他のオブジェクトの重なり具合は関係ないようです。切り取り対象の画像がどれなのかは自動的に判定しているのでしょうか。
2つの独立したパスを作れば、その両方の領域を切り取ることもできます。

また、ビットマップオブジェクト自身の枠もシェイプビルダの編集対象となるので、ビットマップオブジェクトと他のオブジェクトに挟まれた領域をパス化すれば、パスの形に切り抜くこともできます。

実は、複数のビットマップ画像を選択した場合はどうなるのか、とか、生成したパス(クリッピングパス)がビットマップ画像の外側に出っ張っているときにどうなるのか、とか、いろいろややこしい動作も見られます。あまり複雑な使い方はしないほうがいいかもと思います。
さらに、シェイプビルダでクリッピングした結果のデータと、通常のクリッピングを行った結果のデータとでは、内容が異なっているという点も注意が必要です。
シェイプビルダを使った場合は、生成されたクリッピングパスはそのドキュメントのリソースとして格納されますが、ビットマップオブジェクトそれ自体もリソースとして格納され、そのリソースへのリンクを張ることでビットマップ画像を表示しています。クリッピングした時点でビットマップオブジェクトではなくなっているのですね。
リリースノートではここのところを「クローンを使っている」かのように説明していますが、ビットマップオブジェクトとそれへのリンクを張っているクローンという構造のデータではないので、このシェイプビルダによるクリッピング処理はクローンを作っているのだと説明するのは少しムリかと思います。
とにかく、通常のクリッピングとはデータ構造が違うので、シェイプビルダでクリッピングしたオブジェクトは通常のクリッピングを施したオブジェクトのように編集できないかもしれないので、注意が必要だと思います。