このページでは、Inkscapeを使って作成したドキュメントの一部分を別ファイルへ保存する(エクスポートする)機能について紹介します。
(参考:背景が透明な画像を作る)
(参考:バッチエクスポート機能)
(2024.1.19更新)
エクスポートの手順
Inkscapeのドキュメント全体ではなく、描いたオブジェクトの一部分(もちろん全部も可)をビットマップ画像形式などに変換してファイルに保存する(すなわちエクスポートする)には、ファイル > 名前を付けて保存メニューではなく、ファイル > エクスポートメニューを操作します。
このメニューを操作すると次のようなエクスポートダイアログが表示されます。

このダイアログ上で、キャンバスのどの範囲を別ファイルとしてエクスポートするかを4種類の中から選び(詳しくは後述)、ファイルの形式とファイル名を指定して、エクスポートボタンを押すと指定したファイルに出力されます。
保存先の形式の指定
保存先のファイルの形式はプルダウンメニューから選びます。
デフォルトではほんの一部の代表的な形式だけがプルダウンメニューで表示されますが、環境設定ダイアログの入出力というタブにあるエクスポートダイアログにすべての出力を表示にチェックを入れると、全ての保存可能な形式がメニューに現れるようになります。
保存可能な形式が全て表示されているメニューをキャプチャしたものを次のページに示しています。
「保存」と「エクスポート」の形式の違い
「保存」や「名前を付けて保存」のメニューから保存できるファイル形式の一覧と、「エクスポート」のメニューから保存できるファイル形式の一覧とはパッと見た感じでは一致していないようですが、順番が異なっているだけで、どちらのメニューからでも保存できる形式がほとんどなので、少しややこしいです。
ざっくりと比較したところでは、ドキュメント単位ではムリという事情でもあるのか、ビットマップ画像への保存は「エクスポート」のほうでしか実行できないようです。それ以外の形式での保存は「保存」メニューでも「エクスポート」メニューでも保存できそうです。
…ということなのかと思うのですがざっくりした比較なので自信はないです。あるファイル形式がどちらのメニューから保存できるかは、実際にドロップダウンメニューを表示させるか、別のページ(Inkscapeで読み書き可能なファイル形式)に載せた画面キャプチャを見て確認したほうが良さそうです。
保存する範囲の指定
エクスポートダイアログの上のほうに、エクスポートする範囲を選ぶタブが水平に並んでいます。

エクスポートする範囲としてドキュメントを選択すると、キャンバスに描かれた全オブジェクトをぴったり囲う四角い領域(バウンディングボックスと言う)が切り取られて、保存されます。
エクスポートする範囲としてページを選択すると、キャンバスの中のページ(通常キャンバス上に表示されている四角い枠)の部分が切り取られて、保存されます。
エクスポートする範囲として選択範囲を選択すると(ややこしい😅)、選択状態にあるオブジェクト群のバウンディングボックスが切り取られて、保存されます。
エクスポートする範囲としてカスタムを選択すると、座標値で指定した任意の範囲の部分が切り取られて、保存されます。
任意の範囲のエクスポート
カスタムを選択するとキャンバスの座標値で保存範囲を指定することになりますが、正確に座標値を指定するのはなかなか大変です。
でもページやオブジェクトのサイズとは無関係な範囲を保存したい場合もあると思います。
そんな場合は、カスタムを選択して座標値を指定するよりも、エクスポートしたい位置に矩形を描いておいて、それの矩形オブジェクトだけを選択してから選択範囲でエクスポートすると簡単です。
次のようにエクスポートしたいオブジェクトの下にエクスポートしたい位置に矩形を描きます。

次にこの矩形の色をフィル/ストロークダイアログ上で塗りなしに設定します。

そしてこの見えなくなった矩形だけを選択したままでエクスポートダイアログの選択範囲タブからエクスポートすれば、見えなくなった矩形のところで切り取った範囲がエクスポートされます。

選択したオブジェクトだけ保存
どの範囲をエクスポートの対象領域として選んだとしても、エクスポートダイアログで選択中のもののみエクスポートにチェックを入れてからエクスポートボタンを押すと、選択状態にあるオブジェクトだけが描かれたファイルを生成します。
エクスポート時の変換方法などのパラメータ
形式を変換してエクスポートする場合にどのようなパラメータに従って変換を行うかは、エクスポートダイアログ上でファイルの形式を選んだ後で、そのすぐ右側にある歯車アイコンをクリックして、パラメータ設定ダイアログを表示させ、そこでパラメータを設定してからOKボタンを押します。

例えば、キャンバス上に描いたオブジェクトをぼやかさずに境界線をくっきりさせたままPNG画像に変換して保存したい場合は、歯車ボタンを押して表示されるダイアログでアンチエイリアスの値としてゼロを選択すればいいようです。