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Inkscapeのパスエフェクトの使い方(共通部分)

 このページでは、Inkscapeがサポートしているいろんな種類のパスエフェクトのうち、各パスエフェクトに共通する機能の使い方についてまとめます。

  (参考:パスエフェクト/エクステンションとは

  (参考:各種パスエフェクトの特徴と使い方

  (参考:パスエフェクトを手動で実行する

(2024.07.10更新)

はじめに

 パスエフェクトごとに固有の使い方(パラメータの意味など)は「各種パスエフェクトの特徴と使い方」の方で。

パスエフェクトを選んで設定

 まず、エフェクトを適用したいパスオブジェクトを選択します。

 次に、メニューからパス > パスエフェクトを操作すると、パスエフェクトダイアログが表示されます。


 このパスエフェクトダイアログのドロップダウンリストの右端の「▼」ボタンを押します。


 適用可能なライブパスエフェクト候補一覧が表示されるので、適用したいパスエフェクトをクリックします。


ライブパスエフェクト一覧

 すると、選択しているパスオブジェクトの属性値にそのパスエフェクトが追加されて、選択しているパスオブジェクトに適用中のパスエフェクトの一覧がダイアログに表示されます。

 なお、パスエフェクトのそれぞれの詳細については、主要なパスエフェクトをピックアップして「各種パスエフェクトの特徴と使い方」のページのほうにまとめています。

 エフェクト候補一覧からの選択を繰り返すことで複数のパスエフェクトを設定した場合は、適用中のエフェクト一覧に表示されている順番にエフェクト処理が実行されることになります。各エフェクトの右端にある「…」のところをドラッグすると、エフェクト処理を実行する順番を入れ替えることもできます。

 一度設定したパスエフェクトの上の「×」ボタンを押せば、設定したパスエフェクトを削除することができます。

パスエフェクトのパラメータを指定

 設定済みエフェクト一覧の左端にある「▶」をクリックすると、そのエフェクトに対するパラメータを設定する画面が現れます。この画面で、パスエフェクトごとにその動作を調整するパラメータを指定します。パスエフェクトの種類によって指定できるパラメータは異なります。

 「適用する」ボタンのようなものはないので、パスエフェクトのパラメータを設定するとすぐに、そのパスエフェクトとして定義されている編集操作を自動的に加えた結果のほうの表示に切り替わります。

 パラメータには、パスエフェクトダイアログ上で数値やチェックボックスを使って指定するものと、パスエフェクト設定対象のオリジナルパス(スケルトンパスともいう)の周囲に表示されるコントロールパスを変形して指定するもの(ダイアログ上では「曲げるパス」と表示されているパラメータ)とがあります。(コントロールパスの変形にどんな効果があるのかはパスエフェクトの種類ごとに異なるので、細かい話は「各種パスエフェクトの特徴と使い方」の方で書いていきます。)

 次の例は「曲げる」という名前のエフェクトを適用したときの様子です。

コントロールパスの設定手順

 コントロールパスを用いるタイプのパスエフェクトの場合、ダイアログ上に左から順にキャンバス上で編集パスをコピーパスを貼り付けクリップボードのパスへリンクというボタンが並んでいて、コントロールパスの設定手順として共通です。

 キャンバス上で編集ボタンを押すとコントロールパスがキャンバスに表示されます。このコントロールパスは通常のパスオブジェクトと同じように好きな形に変形できます。変形以外のスタイルの変更はできないようです(というか、コントロールパス自身は最終的に表示されないので、変更できても意味がない)

 パスをコピーボタンを押すとコントロールパスが通常のパスオブジェクトとしてクリップボードにコピーされます。通常のパスオブジェクトになっているので、他の目的でペーストして利用することができます。ただし、コントロールパスにはその形以外の属性がない(アンセットされている)ので、ペースト後に適宜スタイルを設定していく必要があります。

 また、何らかのパスをクリップボードにコピーしている状態で、パスを貼り付けボタンを押すと、クリップボードのパスをコントロールパスとして取り込みます(それまでのコントロールパスに上書きされます)。このときオリジナルパスの位置(座標)がゼロに勝手にリセットされてしまうようで、設定したパスはキャンバスのページ境界の左上に移動します。

 また、クリップボードのパスへリンクボタンを押すと、クリップボードにコピーされているパスのコピー元のパスに対してリンクしてコントロールパスとします。コピー元のパスがコントロールパスからリンクされているので、コピー元のパスを変形するとコントロールパスも同期して変形します(というか、内部のコントロールパスの代わりに外部の通常パスがコントロールパスとしても使われる)。(クリップボードを介してリンクを設定するという操作手順は直感的にわかりにくいです。なぜこの手順を採用したのだろう?)

  パスを貼り付けの場合は、コントロールパスの元になったパスとコントロールパスとは独立に変形可能ですが、パスへリンクの場合は、コントロールパスの元となったパスの変形はエフェクト結果に直接反映されるという違いがあります。

オリジナルパスの編集

 パスエフェクトを適用した状態でノードツールを使うと、パスエフェクトのパラメータを調整するためのハンドルが表示される(表示するハンドルがないパスエフェクトもあります)とともに、オリジナルパスのノードも表示されるので、オリジナルパスを編集することはある程度可能です。

 通常のパスと同じように編集したい場合は、設定済みエフェクト一覧の右のほうに表示されている「目」のアイコンをクリックして「目」を閉じると、パスエフェクト適用後の表示からオリジナルパスの表示に切り替わるので、通常のパスと同じように編集することができます。

パスエフェクトの適用結果のほうを保存

 パスエフェクトは設定対象のパスオブジェクトを表示しようとするたびに適用されるので、そのままでも修正したりファイルに保存したりすることは可能ですが、適用結果のほうをさらに編集したいときや、パスエフェクトが含まれない汎用形式で保存したい場合などは、パス > オブジェクトをパスへメニューを操作して、適用結果のほうをパスに変換します。

 ただし、どんな内容のパスデータに変換されるか(例えば、どの部分とどの部分がサブパスになるのか、など)は、やってみないとわかりません。

エフェクトのお気に入り

 設定済みエフェクト一覧の各エフェクトの右のほうに「V」というボタンがありますが、これをクリックして表示されるメニューでお気に入りを設定を操作すると、そのエフェクトに「お気に入り」フラグがセットされて、エフェクト候補一覧の一番上に表示されるようになります。(元の位置からは消えます)

 ちなみにこのメニューの1つ上に「パスに戻す」というメニューがありますが、これは上に書いた「適用結果のほうを保存」と同じことを実行するメニューのようです。英語では「Flatten」と表示されるらしいですが、どちらにしても意味は分かりにくいです。(詳しくは「「Flatten」と呼ばれる機能について」を)